過去の「進化研の資料」
2013.01
ナギナタナマズ Notopteridae
西アフリカとインド・東南アジアの川や湖に、現在8種類棲んでいることが知られています。 まさに薙刀(なぎなた)のような形をしており、ナイフフィッシュとも呼ばれます。 ヒレをカーテンのように動かすのが特徴的で、大きいものは、100cmになります。 魚や水生昆虫などを食べる、肉食性です。 現地の市場などでは、食べるために売られています。 祖先は約1億5千万年前に現れたといわれています。
2012.02
ソナレシバ
ソナレシバは海水中でも1ヶ月以上枯死せず、海水の半分程度の濃度では塩分を吸収しながら成長します。耐寒性は乏しく、開花しにくいので、雑草化する心配はなく、春にさし木し、冬に刈りとれば土壌中の塩分を除去が期待できます。
2011.12
ブータン王国より、ブータンシボリアゲハ寄贈
2011年8月、ブータン奥地で日本蝶類学会とブータン政府の共同調査隊(研究所からは青木・山口主任研究員が参加)が78年ぶりに「幻のチョウ」「ヒマラヤの貴婦人」とも言われるブータンシボリアゲハを確認・採集しました。 採集された5匹のうち、2匹の標本がワンチュク国王から当研究所と東京大学総合研究博物館に寄贈されました。 ブータン国外にある標本は78年前採集のものが大英博物館に5個体、そして今回の2個体のみです。日本のみならず世界の財産といえます。今後、公開も検討しておりますので、お楽しみにしてください。
2011.01
コパイフェラオイル
コパイフェラ属はブラジルを中心に中南米に分布する木本性のマメ科で、場所によっては高木になります。樹液は古くから傷薬などの医薬品などに使われていました。 近藤典生博士は樹液の成分に石油系の炭化水素などが含まれることから、石油植物として着目し、過去の実験では精製したオイルで、車の稼動実験も行いました。現在もコパイフェラの実物は、バイオリウム内で保存栽培を行っていますので見ることができます。
2010.12
お化けヘチマ2
今年のお化けヘチマは、最長で245cmでした。来年度はさらに長いヘチマができるように栽培を行う予定です。
2010.11
「お化けヘチマ」
通常のヘチマは大きいものでも50cmほどですが、 研究所で栽培中のヘチマは200cm以上に成長中。 9月末時点での記録は約245cmで日本一。9月19日のNHK「ニュース7」にて紹介されました。写真のヘチマは約175cmあります。 ヘチマ:原産は東南アジアとされている。 キュウリ、カボチャ、スイカ、ニガウリなどと同じ仲間の「ウリ科」。 つる性の植物で、巻きひげをからめて、他のものに登って成長する。 春に種から芽が出て、夏につるを伸ばして成長して花を咲かせ、 秋に果実・種子が成熟し、冬に枯れる1年生草本植物。 日本には江戸時代の初めに伝わったとされる。
2010.07
故近藤典夫東京農業大学名誉教授
当研究所の所長であり、マダガスカル研究の先駆者であった故近藤典夫東京農業大学名誉教授は、長年にわたるマダガスカルでの研究活動、また大阪花博など数多くのマダガスカル展示のプロデュースなど、マダガスカルと日本、両国間の相互理解や友好に尽力していた点が高く評価され、1966年シェバリエ、1971年オフィシア、1985年コマンドール、そして1996年にマダガスカル国家勲章の最高位グランクロワの叙勲を受けました。
2010.04
ヘキソドン ラティシム(Hexodon latissim)
ヘキソドンは、マダガスカル固有の昆虫で、約10種が知られています。羽が退化して空を飛べない特異なカブトムシの仲間です。ラティシムは南部の乾燥地に分布し、枯葉などを食べ、乾生林では土を作る重要な位置にある虫です。
2010.03
フタゴヤシ(オオミヤシ)の種子
フタゴヤシ(Lodoicea malvica)は、セイシェル諸島の限られた地域にしか分布しないヤシで、植物界で最大級の種子をつけます。果実の成熟には6年を要するともいわれ、現地で若い個体が少なくなってきている貴重な植物です。
2010.02
アメリカゾウゲヤシの果実
Phytelephas tenuicalis 南米に分布し、現地ではタグア(Tugua)と呼ばれています。種子の乳白色の胚乳がとても硬く、まさに象牙のような感触です。ボタンや彫刻などに加工されます。
2010.01
ザーバオバブ(Adansonia za)の花
ザーバオバブの花はマダガスカルの雨期で夏季の12月から2月にかけて開花します。アフリカのディギタータ(A.digitata)は白花ですが、ザーバオバブなどマダガスカルには黄花の種類があり、とても良い香りがします。花は乾燥、液浸標本の保存を行っておりますが、香料の材料としても注目できます。
2009.12
レムール(キツネザル)の二枚舌
CMなどで話題になっていますが、レムール (キツネザル)が二枚の舌を持っているのをご存知ですか? 「舌」の裏側に小さな舌状の構造物があり「下舌」と呼ばれています。これが二枚目の舌なのです。本当の機能は良くわかっていませんが、レムールが持っているクシ歯の掃除をする「ツマヨウジ」の役をするのではないかと考える人もいます。 注 櫛歯(クシ歯)は原猿(レムール・ロリス・ガラゴなど) が持っており,下の門歯が細く変化しクシのようになっており、グルーミングをするときに毛をくしけずるのに使われます。(文責 宗近 功)
2009.06
無翼鶏「ウイングレス」の系統維持
ウイングレスは当研究所で1951年に実験中の突然変異個体として発見されました。この個体の研究から翼の発生と足の爪の発生は連鎖していることがわかり、さらに系統として確立することが出来ました。現在も地道な系統維持作業が続いています。
2009.03
レムールの頭骨
(財)進化生物学研究所では、チャイロレムール(Eulemur fulvus)、クロレムール(Eulemur macaco)、ワオレムール(Lemur catt)、エリマキレムール(Varecia variegate)などのレムール頭骨を日本最大数所有しており、頭骨の形態などを比較し、種の特徴に関する研究をしています。
2009.02
アングレーカムセキスペダレの封入標本
アングレーカムセキスペダレをアクリル封入した標本です。国立科学博物館で行われた「ダーウィン展」でも使用されました。展示で は生きた実物が理想なのですが、花期や展示環境などで制限を受けてしまうことが多あり、この標本により設営できる展示会場の幅が 大きく広がりました。
2009.01
バオバブ(Adansonia grandidieri)の樹皮
バオバブの樹皮はマダガスカルでは、カルシウムの補助薬として煎じて飲まれています。現地調査では植物の採取、同定だけでなく、 住民への有用植物などについての聞き取りも需要な事です。
2008.12
巨大原猿「メガラダビス頭骨」レプリカ
メガラダビス「Megaladapis edwarsi」は絶滅した大型原猿類の中で最大級の種で、体重が80kgもあったとされています。このレプリカは「絶滅鳥エレファンドバード総合研究会議」の事業の一環で、原標本を所蔵するマダガスカル国立アンタナナリヴ大学の許可により作成されました。
2008.10
Alluaudia proceraの材
ディディエレア科のAlluaudia proceraは、マダガスカル南部乾生林に固有の多肉植物です。この植物は多肉植物ですが心材があり、現 地で板材として利用されています。雨の少ない地域で、板材として利用できるほどの太さと、加工がしやすい適度な堅さなど、非常に利用性が高い植物です。極地利用できるの有用植物として期待されます。
2007.10
ポリプテルス(Polypterus)
アフリカ大陸の川や湖に10種類ほど棲んでいることが知られています。 学名のポリプテルスは「多くのヒレ」という意味で、背中に並ぶ多くの「ヒレ」が特徴的です。 昆虫、魚、カエルなどを食べる、肉食性です。約4億年前のデボン紀に現れたと、いわれています。
2007.04
ニチニチソウ(Catharanthus roseus)
庭やコンテナ園芸を彩る草花でよく知られていますが、マダガスカル原産のキョウ チクトウ科の植物です。日本では越冬できないので、一年草の扱いになっています が、マダガスカルでは多年草です。マダガスカルで採れるニチニチソウには小児白血 病などへの薬効があり、フランスなどへ根が輸出され、薬が作られています。研究所 では、系統維持、種分化の研究を行っています。
ニチニチソウの花
2006.12
ヒメハリテンレック(Echinops telfairi)
マダガスカル南部から西部の乾燥地に分布します。身を守るときは丸まって、可愛らしいイガ団子の形になります。パッと見はハリネズミのようですが、マダガスカル固有の食虫目で、大きく言えばモグラの仲間になります。しかも変温性(爬虫類と同じく体温を保つ事ができない)の原始的なホ乳類です。 現在研究所では繁殖実験を行っています。
2006.09
BIORIUM内の月下美人(げっかびじん) Epiphyllum oxpetalum に果実がなりました!
サボテン科の多くは自家不和合性(自分自身の花粉では種子ができない)であり、月下美人も例外ではありません。日本で一般に栽培されている月下美人は自家受粉では実がなりません。日本各地から月下美人を取り寄せ、相互に交配させても同じ結果になります。この理由は、同一個体の由来であり、挿し木によって増殖され日本全国に広がった、と考えられているからです。 今回は別の遺伝型の花粉で交配をしました。果実の中には白い果肉と300から1000粒の種が入っています。食べる事もできますが、まぁまぁといった味わいです。 ご覧になりたい方は、早めにBIORIUMへご来館ください。
2006.04
ワオレムール(ワオキツネザル) Lemur catta
マダガスカル南部の乾燥地域などに分布する、昼間行性の原猿類です。太陽に向かって、のんびりと日向ぼっこをするポーズ姿が有名です。雑食性で、バイオリウムでは野菜と果物、サル用の配合飼料を中心にあげています。 写真の子どもは2006年4月19日に生まれました。親から離れて遊び始める、やんちゃ盛りで親も大変そうです。特に午前中3時以降が、元気良く遊んでいるところを見ることができます。
無翼鶏 Wingless
翼のないニワトリ、すなわち両主翼が基部より欠如した突然変異鶏。左右ともに第3趾の爪が完全に欠如しています。1951年春、ライトサセックス種の異系交配より出現しました。以来今日まで五十数年にわたり、系統維持をしながら、翼の発生遺伝学的研究等のために供されてきました。 翼のあるニワトリと比較して生育が非常に良いことが特徴で、主翼の発達および維持に栄養が消費されないので、採肉量が高くなることが、通常のニワトリとの比較実験で突き止められました。また、この無翼形質は、突然変異によること、翼の欠如に関与する主遺伝子は一つで優性であり、同一遺伝子が足指の爪の欠如を伴うこと、形質の発現には他の遺伝子や環境が関係し、その程度に差異を生じること、性に関係が無いことなどが明らかになっています。 昔から自然界には、エミューやキウィー(現存種)、エピオルニスやドードー(絶滅種)等々無翼の鳥類が知られています。この無翼鶏 Winglessは世界で進化生物学研究所にしかいない貴重なニワトリです。
その他、研究所では、様々なニワトリを飼育しています。
[参考文献] 近藤 典生.June 1954. 無翼鶏のその後の研究および翼切除の利用. 農業 850:19-26 他
Pereskia aculeata モクキリン 普通の植物のような葉を持つサボテン
BIORIUMには、何種類かサボテン科の植物がありますが、この写真を見て、一目でこれがサボテンの仲間だとわかる人はよほど植物が好きな人です。たいていの人は、サザンカかツバキの変わり咲きだと思います。 サボテンの原始的な形態をとどめていると考えられる、葉のあるサボテンは、ラテン語の学名をペレスキア(Pereskia)といい、1703年フランスの植物学者プルミエルが、同じフランス15世紀の植物学者フェーブリー・デ・ペイレスクを記念して命名したものです。 このペレスキアの仲間が、ふつうの樹木と違うのは、葉の付け根に刺座(とげざ)をもち、鋭い刺をつけていることです。刺座とは小さい芒刺(ぼうし)が束になって葉の付け根についており、サボテン仲間の刺は、全てこの刺座の中からでています。
その他、BIORIUMでは、様々な植物が見られます。どうぞご来館ください。
[参考文献] Pereskia(Cactaceae) By Bert Ernst Leuenberger Memoirs of the New York Botanical Garden(1986)
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