造園科学科教育プログラムがJABEE(日本技術者教育認定機構)により認定されました(2005年5月22日)

   

造園科学科教育プログラムのJABEE認定

   日本技術者教育認定機構(JABEE)による審査の結果,平成17年5月,造園科学科の教育プログラムが技術者教育プログラムとして認定されました。

 造園科学科の学習・教育目標,学習・教育の量,教育方法,教育組織,教育施設・設備,学生への支援体制,学習・教育目標の達成度,教育改善などが7審査されたもので,これらが造園技術者の教育プログラムとして社会的に高く評価されたことになります。

 さらに,JABEEは,平成17年6月にワシントン・アコードへの加盟(アメリカ、イギリス、カナダなど欧米・オセアニア各国も加盟)が認められましたので,国際水準にある技術者教育プログラムとしても評価され,技術者として国際的に活躍できる知識と能力をもつことを意味しています。

 また卒業生の多くが技術士(建設部門,あるいは環境部門)の資格を取得した技術者として実社会で活躍していますが,プログラム認定されたことにより,造園科学科の卒業生は認定プログラム修了者として,「技術士」の国家資格試験の1次試験が免除となり、二次試験までに必要な実務経験も7年から4年に短縮されることになります。

 * 技術士は、「技術士法」に基づいた国家試験に合格して登録した人に与えられる称号で、科学技術に関する高度な応用能力を備えている技術者を認定するものです。

 
JABEEプログラムの修了生となるには
造園科学科プログラムの学習・教育目標を理解し、その目標を達成することが必要です。具体的には、造園科学科カリキュラムの必修科目82単位と、専門選択科目42単位以上、合計して卒業要件である124単位以上を修得することです。
造園科学科の皆さんは、入学(含む編入学)と同時にJABEEプログラムに登録され、卒業と同時にJABEE認定プログラム修了者となります。
 
 
JABEEの認定は,
国際水準を意識した技術者教育に向けて、時代と社会の要請に応じた学習・教育目標の設定と造園学の本質を捉えた体系的なカリキュラム編成、さらにその成果の達成を実感できる教育システムが評価の対象となります。
 
造園科学科プログラムの学習・教育目標は,
 造園技術者としての知識・能力を養うために7つの目標(A〜G)があり、さらに具体的な学習・教育目標が2〜3頁のように設定されています。そして、表1は、造園科学科の授業科目と学習・教育目標との関係、表2は学習・教育目標を達成するための授業科目の流れを示しています。
 大学のウェブ・ページ(学生ポータル)から閲覧できるシラバスに表示されている「学科の掲げる学習・教育目標」は、このA〜Gの目標を意味しています。

 

JABEEの目的は,
大学の技術者教育プログラムを統一的基準に基づいて審査・認定を行い、技術者の標準的な基礎教育、教育の質を高めることを通じて、国際的に通用する技術者を育成することです。
 
JABEEとは,
Japan Accreditation Board for Engineering Education(日本技術者教育認定機構)の略称で、通称「ジャビ−」と呼ばれているもので、わが国を代表する技術者教育認定団体として、大学や学協会・関連各省と密接に連携しながら、技術者教育プログラムを審査・認定する非政府団体です。
 
造園科学科プログラムの7つの学習・教育目標(A〜G)
(A)地域レベルから地球レベルに至る幅広い視点から造園学をとらえ,その沿革,社会的使命,将来の目標や課題を理解し,その発展に貢献できる能力を修得する(地球的視野・社会的使命)
1)地域レベルから地球レベルにいたる幅広い視点から地域と環境を認識し、造園学の専門領域を理解し、造園学の果たすべき役割と社会的使命を学ぶ。(地域環境科学概論、造園科学概論)
2)造園学の発達を理解し、造園学の定義と意義を世界的・歴史的な視点から学ぶ。(近代造園史)
3)地域環境科学部造園科学科プログラムの学習目標を明確にするとともに、プログラムを主体的に学ぶ姿勢を身につける。(フレッシュマンセミナー、造園事業と技術者倫理)

(B)社会に対して造園家としての使命感と責任(環境倫理・技術者倫理)をもって取り組める能力を修得する(技術者倫理)
1)環境と地域に関わる技術者の使命(職能)と責任について学ぶ。(地域環境科学概論、造園科学概論、フレッシュマンセミナー)
2)環境の計画・設計に関わる技術者の使命(職能)と責任について学ぶ。(造園計画学、造園事業と技術者倫理)
3)生物資源に関わる技術者の使命(職能)と生物を取り扱う責任について学ぶ。(造園植栽学、造園事業と技術者倫理)
4)自然環境に関わる技術者の使命(職能)と責任について学ぶ。(風景地計画学)
5)建設工学に関わる技術者の使命(職能)と責任について学ぶ。(造園施工論、造園事業と技術者倫理)

(C)幅広い造園学の対象領域とそれらを司る原理(数物・自然)やシステム(造園空間の特徴,構成要素、自然のシステム、社会や経済のシステム、情報など)を理解し、造園学を学ぶための基礎的能力を修得する(基礎能力の修得)
1)造園空間の創成に向けて、植物を主体とする生物資源に関する生物学的な基礎知識を修得する。(緑地植物基礎)
2) 造園空間の創成に向けて、測量、設計および施工に関わる物理的・数理的な基礎知識を修得する。(造園基礎演習(二)、造園工学、測量及びGIS、測量実習)
3)造園空間の構成要素である造園植物の種類と形態的・生理的特性を理解するとともに、野外観察を通して、造園植物の識別能力を修得する。(造園植物学、造園基礎演習(一))
4)身近な空間や地域を対象とした調査や観察を通して、造園学の対象とする空間や地域の問題認識(観察)と課題発見(解析・考察)の能力とともに記録・表現による説明能力を養い、造園技術者としてのモノの見方・考え方を修得する。(造園基礎演習(三))
5)造園計画の概念・意義を理解し、自然的環境・社会的環境・歴史・文化的環境の調査・解析手法、さらに課題解決のための計画手法に関わる基礎的能力を修得する。(造園計画学)

(D)造園家として必要な言語(外国語を含む),図面等による表現能力、コミュニケーション能力を修得する(コミュニケーション能力)
1)国際的なコミュニケーションを行うための基礎的な言語能力として、リスニング(聞き取り)、リーディング(読解)、文書作成(英作文)、会話(英会話)など英語による表現能力を修得する。(英語(一)〜(四))
2)図面によるコミュニケーション能力を高めるために、造園製図に関わる基礎的知識、ならびに造園図面の表現技術を修得する。(造園製図実習)
3)ITやICTを活用した情報収集やコミュニケーションを行うための基礎能力としてコンピュータを取り扱う技術やインターネット利用の基礎知識を修得する。(情報基礎(一)(二))

(E)造園空間創成に向けて問題や課題を調査・分析し、それらの解決手段の総合化(プランニング)技術とその具現化手法であるデザイン技術を修得する(計画能力)
1)造園学の視点から都市環境計画および自然環境計画にアプローチし、現状課題の認識理解と将来展望に基づく造園空間の創成に向けた計画技術と手法を修得する。(都市緑地計画学、風景地計画学)
2)造園空間の創成のための計画能力として、計画・設計の理論と技術を学ぶことにより、総合化(プランニング)技術と具体化のデザイン技術について修得する。(造園計画学)
3)課題演習を通して、課題認識から、自然的・社会的条件の調査分析、課題解決のための総合化と具体的な計画・設計の提案までを通して、ランドスケープ・プランニング及びランドスケープ・デザインの実践的な技術と能力を修得する。(造園総合演習(一)・ (二)・ (三))

(F)造園空間を創成するための技術,手法(材料,工法,建設技術,管理技術)について修得する(技術・手法)
1)造園空間の構成要素である植物(樹木、地被植物)の種類と形態的・生理的特性を修得する。(造園樹木学、造園地被学)
2)造園空間の構成要素である造園施設材料の種類と特性、その利用及び管理に関する基礎知識を修得する。(造園施設材料)
3)造園空間の創成における造園植物の生態学的・効用論的理論、植栽(緑化)にかかわる技術と手法、植栽管理に関する技術と手法を修得する。(造園植栽学)
4)造園空間の創成におけるシステム工学・建設工学的理論、施工および施工管理に関わる技術と手法を修得する。(造園工学、造園施工論)

(G)プロジェクト(研究調査等)を計画的・組織的に推進する実務的・実践的な能力を修得する(実学主義)(応用力)
1)造園空間の創出を課題としたプロジェクトにより、課題認識から、自然的・社会的条件の調査分析、計画方針の決定、空間計画の提案・発表までを通して、計画プロセスと組織的な計画実践能力を修得する。(造園総合演習(一)・ (二)・(三)、卒業論文・卒業制作)
2)造園空間の創出を課題としたプロジェクトにより、課題認識から、自然的・社会的条件の理解、計画コンセプトの立案、具体のデザインの提案・発表までを通して、現状認識をふまえた課題解決のコンセプト、具体の計画策定を実践する計画能力を修得するとともに、図面等の表現力、発表能力等を修得する。(造園総合演習(二))
3)造園空間の創成に向けた調査・計画・設計・管理運営の計画段階による設定課題を通して、現状の認識から、課題発見とその解決策の提案までの技術や手法についての具体的かつ実践的な能力を修得する(造園総合演習(三))
4)社会的貢献を意識した卒業研究テーマの発見、課題解決のための研究計画(実験計画)の設定、調査・実験の実際、データ解析および考察、発表を通して、自主的に実務的かつ計画的な課題解決能力を修得する。(卒業論文・卒業制作)

 

JABEEの定める技術者として修得すべき知識・能力

(a) 地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養

(b) 技術が社会および自然に及ぼす影響や効果,および技術者が社会に対して負っている責任に関する理解(技術者倫理)

(c) 数学,自然科学および情報技術に関する知識とそれらを応用できる能力

(d) 該当する分野(農学分野)の専門技術に関する知識とそれらを問題解決に応用できる能力

(d-1) 基礎能力:生命科学,生物環境科学,生物生産科学,生物資源科学の各関連科目の修得によって得られる理論的知識。

(d-2) 実験または調査を計画・遂行し,データを正確に解析・考察し,かつ説明する能力。

(d-3) 専門的な知識および技術を駆使して,課題を探究し,組み立て,解決する能力。

(d-4) 技術者が経験する実務上の問題点と課題を理解し,適切に対応する能力と判断力。

(e) 種々の科学,技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力

(f)日本語による理論的な記述力,口頭発表力,討議等のコミュニケーション能力および国際的に 通用するコミュニケーション基礎能力

(g)自主的,継続的に学習できる能力

(h)与えられた制約の下で計画的に仕事を進め,まとめる能力

 

お問い合わせ: 造園科学科  

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Fax: 03-5477-2625
E-mail: zoen@nodai.ac.jp
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