チャピンゴ自治大学 第四回報告書

国際農業開発学科 4年 

小川 

本報告書で留学先からの提出は最後となり、この9ヶ月間を振り返ると“あっという間だった”という言葉が相応しいです。4月にはセマナサンタという聖週間があり、UACHでは1週間お休みでした。セマナサンタの期間は州によってはパレードやお祭があるそうですが、私は友達とGuanajuato州へ観光に行きました。バスターミナルで偶然出会った韓国人達と行動を共にしました。メキシコではアジア人がいるとかなり目立ちます。私の友達が韓国人へ話しかけて皆一緒に観光することになりましたが、友達はさすがメキシコ人です、気軽に話しかけていました。この州はヨーロッパ調の建築物がたくさんあり、ここはメキシコなのか?という風に、ヨーロッパへ来ているような感覚でした。非常に閑静で歴史ある場所なのでメキシコへ観光するならお勧めの場所です。

 

第3回報告書からの今までの3ヶ月間は変動が激しい期間で、日本においても、また将来においても体験できないような事ばかりでした。書いておかなければならないことが沢山あります。

まず、2月の中旬から約40日間にかけてチャピンゴ大学でストライキが行われたこと。ストライキの次はインフルエンザの流行で約2週間閉校になってしまった事、大学の寮を出て友達とルームシェアをしていること等です。

2月上旬、大学の正門にストライキを宣言するようなポスターが掲げられ、マイクを使い演説のようなことをしている人を見かけました。中旬になり、UACHの労働組合員達は賃金値上げを要求するとともにストライキを行いました。日本では会社のストライキはありますが、教育機関でのストライキは全くと言っていいほどありませんね。会社でも数日間がほとんどだと思います。UACHでは毎年挙行されるそうです。ちなみに去年は2、3間で終了し、授業には影響なかったそうです。スト中は図書館、食堂、大学内の寮、学科など全ての施設が閉鎖されてしまい、授業は全て休講で、門から大学内へ入ることも出来ませんでした。ほとんどの生徒は実家に帰ってしまいました。他国から来ている留学生は食堂に入れず、また、寮内にキッチンがないためにいつも近くのレストランで食事をしていました。私の寮はゲストハウスなのでキッチンがあり、食事には困りませんでした。卒論の研究でお邪魔している大学院(UACHから独立した)も同じくストだったので、どうしようもありませんでした。スト中は部屋で勉強したり、友達とご飯を一緒に作ったり、他の州へ観光したりして過ごしていましたが、40日間も授業がないとさすがに、何の為に留学に来ているのか、一体いつストが終わるのか、授業やテストはどうなるのか・・・等など弱気になってしまったこともありました。しかし、逆に言えば、スペイン語の文法をしっかり勉強できる期間でもありましたし、留学後のこと、今後の将来について考え直すチャンスだったと、プラスに考えることができました。ただ、大学院の方ではUACHより長い期間(約2ヶ月)続いてしまったので、卒論の研究が思うように進まず、苦悩しています・・・。

ストが終了し、授業再開。3月の中旬から学科の友達とルームシェアをし始めました。寮を出た理由として、壊れている窓を修理してもらえないなどからの安全性の問題(泥棒に入られたり覗きに遭ったり)と、一緒に住んでいたイギリス人女性の素行の悪さからの理由で、これ以上住むことは困難だと思ったからです。また、メキシコ人と住めば、語学向上にもなるだろうと思い引っ越しをしました。日常会話はもちろんのこと、彼女は同じ学科の修士を勉強しているので、授業で理解できなかったことなど教えてもらっています。毎日一緒に料理を作ったり、週末は買い物に出かけたり、語学面で非常に役立ち、もっと早くからルームシェアをしていれば良かったなと思っています。

 

ようやく学生らしい生活を送っていたのも束の間、今度はインフルエンザで4月26日〜5月10日まで休校となってしまいました。私がいつも通り授業のために学科に行くと人気がありません。偶然通りがかったクラスの友達に、「今日はクラスないの?」と聞くと、「今、メキシコではインフルエンザが流行していて、ほとんどの州で休校なんだ」と教えてくれました。そういえば、今日はマスクをしている人が多かったなぁなんて思っていたら、まさかインフルエンザだとは。私は普段ニュースを見る習慣がないので、知らなかったのです。テレビでニュースを見ると、メキシコ全土の学校では休校、メキシコシティの一部の公共機関、その他映画館、博物館、テーマパーク等の閉鎖などが放送されていました。人ごみに行くのは極力避け、あいさつ時のキスや握手の禁止、頻繁に石鹸での手洗いアルコール消毒、マスク装着などと頻りにテレビで呼びかけていました。メキシコでは世界で一番インフルエンザによる死者が多い国でしたので、私はなるべく外出しないように、家に引きこもっていました。また、食料は備蓄するようにしていました。スーパーでは一時買い物袋がなくなるという事態がありましたが、もう改善されたそうです。友達の「今年は狂っている年だわ!」という発言もうなずけます。

メキシコ政府は「メキシコにおける感染拡大は下降している」と発言し、5月11日から授業は再開されました。再開時は各校門の前で健康に関するアンケート調査(これまでに高熱やせきはあったかなど)や、マスクを配布していました。

UACHでは、ストやインフルエンザの影響で授業やテストに影響が出て、例年なら6月中旬に後期が終了しますが、今年は7月の第1週まで伸びるそうです。今月は今まで実施されなかったテストが集中し、まさに体力勝負となりそうです。あと残りの2ヶ月は、学科の専門知識を高め、テストやレポートで少しでも良い評価をもらえるように頑張りたいと思います。