第一回 ミシガン州立大学留学報告書
国際農業開発学科4年 佐藤 真理
到着した時は汗ばむ陽気でしたが、すっかり肌寒い季節となりました。不安と緊張で気持ち悪くなりながら成田空港を後にし、ただただ生活に慣れようと過ごしてきました。
私が一年間留学するミシガン州立大学(MSU)はアメリカで最初の農業教育機関として始まり、農学に関する学科(Agricultural
ManagementやAgriscienceといった学科)を30以上持つ総合大学です。敷地の中には、各300人以上暮らしている寮が12棟以上、Footballのためのスタジアムもあり、日本の大学からは想像できない規模です。農大とMSUは今年で交流40周年を迎えます。
毎年、10月頃に次年度の留学募集が始まります。就職活動を始める級友たちの中で、ここで大学生活を終えることに何か煮え切らないものを感じていました。募集の告知を知り、「広い世界を見てみたい」「全く新しい環境で自分を試してみたい」と気持ちが急速に固まっていきました。また、農産物貿易に興味を持っていた私にとって、MSUで勉強できる機会は魅力的でした。そして、先生や友人の後押しもあり留学を決心しました。
到着して一週間は、世界各国から留学してくる生徒のためのオリエーテーションに参加しました。ここで、MSUの学生として必要な手続きをすべて済ませます。英語のクラス分けテストも受けました。Level
4〜1に分けられ、私は3を受講しています。英語のクラスを修了しないと専門の授業を受講することができません。毎日、Reading&Writingのクラスを2時間、Listening&Speakingのクラスを1時間、Content ClassといってDramaについてのクラスを1時間、受けています。Dramaクラスでは、ギリシャ悲劇について学んでいます。何故にギリシャ神話と思う方も多いと思いますが、様々な人間模様を通して英会話が学ぶことができます。クラスは半分が韓国人、日本人が3割、サウジアラビア人と中国人が1割ずつで構成されています。互いに外国語である英語を使って、必死に意思疎通を図っています。授業後は、図書館に行き大量の宿題に取り組みます。専門の授業を取っているか、英語のクラスを取っているかに関わらず、留学生はアメリカ人生徒の3倍近くの学費を払っています(私は交換留学生なのでかなり減額されていますが)。そのため多くの留学生は必死で勉強していますので、その中で揉まれるのはいい刺激になります。
留学生のほとんどがキャンパス内の寮で生活しています。寮は男女が同じフロアに住んでいるような自由な雰囲気です。夜遅くまで勉強するひと、酔っぱらって大騒ぎするひと、それぞれが思い思いに過ごしています。着いた当初は、ルームメイトがいませんでしたが、とにかく英語に慣れたい私は引っ越しをしました。ルームメイトはイギリス人で、なかなか日常会話も円滑に進みませんが我慢強く付き合ってくれます。他にも週に一回、Conversation Partnerと会う機会があります。彼は日本語を勉強しているので時間内で半々ずつ、好きな音楽やニュースについて英語と日本語を話します。授業内では学べないような日常会話を知る機会です。食事は、寮のカフェテリアを利用しています。ビュッフェ形式で好きなものを、好きなだけ食べられますが、毎食ファミリーレストランのような食事に辟易しています。部屋には台所がなく、カフェを利用するか、外に食べにいくしかありません。日本食、特に寿司屋は近辺にいくつかありますが、日本の寿司とは異なりますし、母の料理を恋しく思います。しかし、不便なのは食事くらいで、その他は快適に暮らしています。週末には、何かしら学内のイベントがあるので参加したり、映画に行ったりして過ごします。毎週末、フットボールの試合があり、私も一度観戦しました。試合そのものよりも、熱狂的な雰囲気に驚きました。学生のみならず、住民が一丸となってMSUを応援します。皆が、MSUのスクールカラーである緑と白(農大と同じ)を身につけます。こちらの学生は、本当に自分の大学に誇りを持っていると実感します。信じられないくらいスクールグッズに人気があり、多くの生徒が誇らしげにロゴ入りのトレーナーを来て歩いています。日本の大学に置き換えて考えてみるとかなり妙ですが、ここにいると普通のことのように思えてきます。一年後には、私もトレーナーを着ているかもしれません。大学だけでなく、自分を取り巻いている環境、家族や友人、恋人に誇りを持っています。誇りというよりは、縄張り意識と言った方が近い感覚かもしれません。アメリカの生徒に限ったことではなく、他国の生徒からもそのような印象を受けること多々があります。
この一ヶ月間は、新しい環境に慣れようと必死でした。やっと生活のリズムもでき、落ち着いて暮らせるようになりました。ここからは、ただ日々に追われて過ごすのでなく目的を持って過ごしていきたいです。4回の報告書を通して自身の成長と、私から見た異文化を伝えていけたらと思います。この留学を支えてくださっている大学職員のみなさん、先生方、家族、友人に感謝して、一回目の報告を終わります。