博士前期課程 2年
国際バイオビジネス学専攻 寺野梨香
早くも、マレーシアに来て4ヶ月が経ち、10月中旬より11月三週目の試験期間をはさんだ休暇が始まり、学内は大学職員の方々と留学生、少数の学生のみとなりました。学期の終わりと共に私の授業聴講も無く、図書館と寮の往復が続く毎日です。休暇中でも学内の図書館は開放されているので、寮に残っている学生は遅くまで勉強に励んでいます。今回は、10月以降について報告させて頂きます。
さて10月はムスリムの学生にとって、また留学生の大半を占めるイランやアラブなど中東諸国出身の学生にとって断食の月であり、イスラム教徒ではない私にとってもそれまでとは全く違った月となりました。
学内外の食堂や売店は断食の影響から夕方まで数店を残して閉店となり、下旬からは利用者減に伴い大学バスのスケジュールも変更されました。
マレーシアで断食は「プアサ」と呼ばれ(ラマダーン:アラビア語)、日の出1時間前から日没までの断食を30日間行います。断食中、食事はもちろん水を飲むことすら出来ない、ムスリムではない学生でも(中国系やインド系の学生)もひっそりと食事をしたり自宅に持ち帰って食事を取ったりと、外食している人はあまり見かけず、屋外で水を飲むのにも気を使いました。夕方になると、学食や学外の食堂も開き始め、多くの人が詰め掛けました。
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11月3・4日はハリラヤ・プアサつまり断食明けのお祝いでした。この日から11月一杯はオープンハウスといって親戚や友人を招いての食事会が各家庭で行われます。私もお世話になっているザイナル先生のお宅やジャンバビ先生、マレー人の友人のオープンハウスに招待して頂きました。この日のための手作り のお菓子や装飾なども、とても興味深いものでした。学内では折々に留学生のための食事会が催されていますが、断食明けには大学主催のオープンハウス等もありました。 |
写真:学内のオープンハウスにて | また断食明けには、カードを送り合う風習があります。お互いの断食を祝うもので、ムスリムでない私からも、ムスリムの先生や友人に送ることが出来ました。カードは部屋の壁などに飾ってありました。 |
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写真:ザイナル先生のお宅にて |
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12月上旬から20日間弱は、予備調査を兼ね来年には調査を予定している農村に滞在しました。ペナン州北部クパナバタスから更に北上し、ケダ州とペナン州の境界となっているムダ川から2キロにある農村です。 生活習慣の違いや言葉の壁などはあるものの、家族の一員のように迎えていただき本当に充実した日々を過ごす事が出来ました。授業や友人、ルームメイトとの会話は英語中心に進んでいるので、語学の授業以外なかなか話す機会のないマレー語を集中的に学ぶことも出来ました。生活の様々な場面を通しマレー語を学ぶ過程は本当に楽しく、毎日、村の中を歩き回りながら村の人達と話をするうちに、会話も弾み、意思の疎通が出来るようになりました。学内からでは知ることの出来ないマレーシアを体験する機会に恵まれ、来学期からのマレー語また修士論文に関しての課題も明確にすることが出来ました。 |
写真:ホストファミリーのお孫さんと |
マレーシアは多民族国家なので、マレーシアというひとつの国家に滞在し
ていながら、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教のさまざまな宗教の新年を見ることが出来ます。
新月の日に祝われるヒンドゥー教の新年ディーパバリ(今年は1 1月1日)は、光の祭典とも称される灯明祭です。中国正月(2月9日)、イスラム暦新年そしてこのディーパバリがあります。
クリスマスやハリラヤ・ハジなど、宗教慣習による祝日もそれぞれの宗教によって様々です。しかし、広場に飾られたクリスマスツリーの前で写真を撮るマレー人やクリスマスソングを口ずさむ村の子供達からは、日本ほどではありませんが、おおらか宗教観を感じました。
こちらでの生活も4ヶ月が過ぎ、新学期が始まります。オンラインの授業登録や複雑な手続き等ありましたが、何とかマレー語の授業、大学院でのコースなどの課目登録を終えた所です。私にとっては新しい分野なので、積極的に授業参加して行きたいと考えています。
そろそろ雨季が終わろうとしており、今迄より更に暑いマレーシアで、有意義に過ごせるよう、体調管理に気を付け研究に取り組みたいと思います。