University of the Philippines
Los Banos 留学報告書1
地域環境科学部 森林総合科学科4年
井口 博愛
8月15日(月)にUPLB(University of the Philippines Los Banos)に到着してから、あっという間に1ヶ月が経ちました。UPLBは、南国の植物が溢れる緑が豊かなキャンパスで、フィリピンを代表する独自の乗り物jeepney(学生は初乗り:6peso)で移動するほど広大です。Manilaに数多くある大学に比べると、UPLBは大自然に囲まれた田舎にある大学なので、勉強に集中できる素晴しい環境です。
フィリピンは、1年を通して気温、湿度の高い熱帯モンスーン型気候の国です。現在は雨季です。雨季といっても日本の梅雨のように一日中雨が降っているわけではなく、夕方から2、3時間ぐらいの土砂降りか、日中にスコールがあるような天候です。日中はやはり暑いですが日本の夏よりも暑くなく感じ、自分の部屋や教室では扇風機だけで快適に過ごせます。
フィリピンは、アメリカ、イギリスに次いで世界で3番目に英語を話す人が多い国です。フィリピン独自の言葉は約80種類あり、国語(共通語)はタガログ語、公用語は英語です。LB(Los Banos)は、タガログ語圏の地域です。タガログ語訛りの英語ですが、UPLBの学生は、本当に流暢に英語を話すので驚きました。
■visaについて
最初、フィリピンは21日間の滞在期間はvisaが不要なので、visaを取得せず入国し、フィリピン国内で47(A)2visaに切り替えるつもりでした。ところが、UPLBのOIL(Office
of the Institutional Linkages)から連絡があり、47(A)2visaはsecond semesterのregistration(11月8日)か、enrollmentの日の1週間前でないと取得ができないということだったので、59日間滞在可能なtourist visaを取得し、tourist visaを1回延長し、47(a)2visaに切り替えることにしました。tourist visaは、旅行代理店で取ってもらいました。旅行代理店の手数料:3150円、tourist visa取得費用:5250円でした。
フィリピンは日本とは違う時間が流れていると言われるほど時間におおらかなことに驚きました。ニノイ・アキノ国際空港に到着して入国審査の際、tourist visaを取得しているのにも関わらず、21daysとスタンプを押されてしまいました。私は、visaを取得して海外に行くことが初めてだったので、注意不足でした。このようなことは、フィリピンでは多いようです。入国審査の際は、必ずスタンプが正しく押されているか確認する必要があると思いました。
8月25日に、visaの修正のために、OILのNymphaさんにMetro ManilaのManila Areaにあるimmigrationにバスとjeepneyを乗り継いで連れて行ってもらいました。あっけなく、スタンプを修正できたので安心しました。最初はとても不安になり大変な思いをしましたが、前向きに受け止めることができ、良い経験になったと思います。
■お金について
私は、日本で新生銀行の口座をつくりました。新生銀行のキャッシュカードは、海外でPLUSという表示のあるATMから現地通貨で引き出しができる「インターナショナルキャッシュサービス」があり、引き出し手数料、残高照会手数料ともに無料で利用できます。私の住んでいるLBは田舎ですが、もちろんPLUS表示のあるATMがいくつもあり、引き出し手数料が無料なのでとても便利です。さらに、例えば親から自分の口座にお金を振り込んでもらう際に、親も新生銀行の口座をつくりインターネット上で振り込み手続きをすれば、月に5回までは振り込み手数料も無料のようです。フィリピンに限らず、留学生にはとてもおすすめです。
私はほとんどのお金を新生銀行の口座に預金し、日本円で約10万円を現金で持って行きました。その他には、非常時のためにVISAカードを作りました。日本円のトラベラーズチェックは、フィリピンでは使える場所が少ないので、私は作りませんでした。
■到着日(8月15日)
OILから前もってメールで、OILのNymphaさんが迎えに来て、運転手はLucasさん、車のナンバープレートの連絡がありました。フィリピンでは、送迎者を装った犯罪もあるので、きちんと確認した方が良いです。空港に到着し、何のトラブルも無くNymphaさんを発見できスムーズにUPLBに着きました。
UPLBへ向かう途中で、LBにある比較的レートのいい換金所に連れて行ってもらい3万円だけ換金しました。空港の換金所は、レートが悪いと評判なので利用しない方がいいです。OILに連れて行ってもらい「A Practical Guide for Exchange Students」というLBの簡単なガイドブックと、UPLBキャンパスの地図をもらいました。その後、予約をしていたSEARCA Dormまで送ってもらい、SEARCA Dormのフロントでdeposit:4370peso払いました。
■SEARCA Dorm
OILから、SEARCA Dormか、International House
Dormのどちらかに入寮できるという選択肢だったので、SEARCA Dormを選びました。SEARCA Dormは、フィリピン人の学生も住んでいますが、基本的には奨学金を受けている、海外から来たUPLBの正規学生が住んでいて、BS、MS、phDの学生がいますが、MSが一番多く、交換留学生は少ないです。現在は、フィリピン、ミャンマー、タイ、ラオス、インドネシア、ベトナム、中国、カンボジア、インド、韓国、アメリカ、カナダ、東ティモール、日本の14カ国の学生が約80人住んでいるそうです。
部屋のランクは4種類あり、私は1番安い月に1部屋1人で78ドルの部屋に住んでいます。2人で住むと、月に49ドルです。家賃には、水道代、光熱費も含まれていて、請求書はpesoになっていたのでpesoで支払っています。今は語学力の向上のためにもルームメイトを探すか、SEARCA Dormを出てUPLBキャンパス外のアパートに友達とシェアして住むかどうか検討しています。
部屋には、天井に付属された扇風機、ベッド、シーツ2枚、枕、枕カバー1枚、勉強机が2つ、引き戸の棚が1つ、低いテーブルが2つ(1つはベランダ)、イスが4脚、大きいクローゼットが2つ、寮内の内線電話があります。家具は、部屋ごとに微妙に違いますが、だいたいこのような内容です。
部屋のコンセントは、110V、220Vが2つずつあり、日本の電化製品も変圧器無しで使えます。私はOILにコンセントの電圧とプラグのタイプについて質問していたのですが、返事がなかったため変圧器を買ってしまいました。でも、SEARCA Dormの1階にあるネットショップで自分のノートパソコンを使う時に必要だったので、買って良かったです。プラグのタイプは、110VがAタイプ、220VがB3タイプです。これはもしかしたら、部屋によって違うかもしれません。廊下のプラグは、220VでもAタイプだったりするからです。
部屋は、10部屋ぐらい集まっているwingになっていて、wingごとにトイレとシャワールーム、洗面所があり共用で使用します。シャワーは、温度調節できずお湯は出ません。これはフィリピンでは、普通で暑い国だからだと思います。朝は冷たく感じますが、慣れれば全く問題はないです。寮内は、SEARCA Dormのスタッフが頻繁に清掃してくれるので、いつもとても清潔です。
1階にキッチンがあり、コンロは無いですが、冷蔵庫が9台、お湯が出る機械が1台、オーブントースターが2台、電子レンジが2台あり、共用で使えます。キッチンのある場所には、テーブルとイスがたくさん置いてあり、ご飯を食べる場所や、勉強ができるstudy roomになっています。ここには、パソコンが3台ありますが調子が悪い時が多いです。日本語は読めますが、入力はできません。今は無料で使えますが、これから使用料を取ると掲示されています。きっと使用料を取るようになったら、いつも調子が悪くイライラするほどスピードも遅いので、誰も使わない気がします。
洗濯は、通常は4階にある1台の洗濯機をみんな使っていますが、7月頃から故障し最近やっと修理が終わりました。洗濯機が使えない間は、ほとんど自分で手洗いし、大変な時はSEARCA Dormの1階にあるランドリサービスに出していました。
飲料水は、最初にタンクに入ったミネラルウォーターを300pesoで購入し、空になったら40pesoで足してもらえるサービスがあり、フロントで頼めます。部屋の前までタンクを運んでくれます。
ロビーには、新聞が置いてあり自由に読めます。ロビーの横には卓球台が2つあり、その奥にバドミントンコートがあり、よくみんな卓球やバドミントンをしています。寮にはフロントにスタッフがいて、24時間ガードマンが常駐しているので比較的安全だと思います。
インターネットは、部屋では利用できません。1階のロビーでは、ワイヤレスでネットが無料で使えます。みんなノートパソコンをロビーに持ってきてネットをしていますが、私のPCは古いタイプなのでワイヤレスは使えませんでした。中国人の友達に教えてもらい、最近ワイヤレスLANカードを1698pesoで購入し、使えるようになりました。でも、このロビーでネットをするのも近々有料になると言われています。最近はよく、ロビーでインターネットに接続できないことがありとても困っています。
ワイヤレスLANカードを購入する前は、SEARCA Dormの1階にあるネットショップにノートパソコンを持っていって使っていました。そこには、日本語が入力できるPCもあります。1時間25pesoです。
Dorm mateは、みんな本当に優しくて、わからないことや困ったことがあるととても親切に教えてくれ、助けてくれます。様々な国の人たちに出会え、異文化に触れ理解が深まり、仲良くなれます。
最初来たばかりの時は、よく停電がありました。SEARCA Dormには発電機があり、すぐ電気は回復するのですが、私の部屋は発電機に1番近い部屋で、発電機が稼動すると騒音で眠れなかったり、部屋では勉強できないほどうるさいので、停電が頻繁に起こるようになったら部屋を移動することを考えています。
■食事について
SEARCA Dormは、火気厳禁のため自炊をすることが難しいです。過去にSEARCA Dormのキッチンで火事があったため、キッチンのコンロはなくなってしまったそうです。LBに着たばかりの頃は、SEARCA Dormの1階にあるcanteenと呼ばれている小さな食堂で食事をしていました。だいたい1食30peso~食べられます。
最近は、炊飯器とelectric heating cupという商品名のコンセントを差し込むだけの電気調理鍋を購入し、少し自炊し始めています。電気調理鍋はとても便利で、すぐにお湯が沸かせてコーヒーなどが飲め、味噌汁などのスープ類、パスタなどの麺類も調理できます。みんなは、炊飯器をフル活用して様々な料理を作っているようです。
フィリピン料理はおいしいですが、揚げ物が多く油っぽい料理や、肉中心の料理でなかなか野菜を食べる機会が少ないので、健康管理のためにも意識をしてできるだけ野菜を取るように心がけています。
留学生同士がとても仲が良いので、週末はいろいろな国の留学生と一緒に、LBで人気の屋外のフードコートのようなカフェやレストラン、バーが集まったLB squareにご飯を食べに行ったり、飲みに出かけたりします。私は特に、カナダ人の友達に連れて行ってもらったタイ料理がお気に入りです。
■図書館について
UPLBには、図書館がとてもたくさんあります。図書館は、IDがないと入館できません。IDは、registrationをしていないともらえないのですが、私は交換留学生ということで特別にroom use onlyのカードを発行してもらいました。借りることはできませんが入館できるので、時間がある時にはMain Libraryや、Forestry Libraryを利用し、自習しています。
■授業について
UPLBのfirst semesterは、6月から始まり、中途半端な時期に来た私は、first semesterは履修できないので、OILのNymphaさんと一緒にforestryの先生に聴講できるようお願いしに行きました。Pulhin先生の週3回、1回はLaboratoryで3時間ある、Dept. of Social Forestry and Forest Governanceの「Political
Economy and Administration for Development」のクラスを聴講しています。Laboratoryは、ディスカッション形式の授業で、forestryに関するフィリピン議会の演習です。タガログ語で発言する生徒も多いですが、英語で翻訳して説明してくれます。クラスメイトの会話はみんなタガログ語で、疎外感を感じる時もありますが、自分から積極的にみんなに話しかければ、輪に入れてくれるので仲良くなれます。
最初はPulhin先生の訛りの強い英語が聴き取れず困りましたが、だんだん慣れてきました。講義の内容も、とても難しいですが、second semesterの授業に向けての準備として聴講しています。授業をMP3プレーヤーに内蔵されているICレコーダーで録音して復習をし、reading roomにある授業の資料を借りてコピーをして勉強しています。reading roomも図書館と同じで、IDが無いと貸し出しはできないのですが、TA(Teaching Assistant)の人に理由を話してお願いしたところ、room use onlyのカードで貸し出ししてくれることになりました。
クラスメイトは、みんなとても親切に接してくれます。このクラスで仲良くなった友達は、日本にとても興味があり日本語を勉強したいそうなので、週に1回ぐらいのペースで私は日本語を、彼女は英語かタガログ語を、お互い教え合って、会話の練習をすることになりました。
その他に、Dept. of Agribusiness ManagementのTan先生の日本語のクラスに参加しています。アシスタントのようなことをしていますが、日本に興味のあるUPLBの学生と交流ができる良い機会になっています。このクラスでも、Tan先生に紹介していただき週に2回のペースで会話の練習をする友達を作りました。
■Cultural Nightについて
9月1日に、Cultural Nightという、UPLBの留学生がそれぞれの国の文化を、ダンス、歌、楽器、ファッションショーなどで紹介するというイベントがありました。これは、毎年行われている留学生の一大イベントで、観客が約500人来ました。私は、UPLBに来たばかりで日本の出し物の踊りを練習する時間がなかったので、残念でしたが日本大使館から借りた浴衣を着てオープニングだけに参加しました。
アメリカ、バングラディッシュ、インド、ウガンダ、タイ、カンボジア、ミャンマー、フランス、インドネシア、東ティモール、ベトナム、韓国、中国、カナダ、ラオス、ブータン、日本、そしてフィリピンが出場しました。フィリピン意外にも様々な国の文化に触れることができ、友達もたくさんでき、とても満喫しました。
Cultural Nightのオープニング(黄色の浴衣:本人)
日本とは全く異なる環境で生活し、大変なこと辛いことも多い日々ですが、ホームシックになることもなく全てを前向きに受け止められ、どんなことがあっても楽しんで生活ができているのは、フィリピンで出会った人々、様々な国から来た留学生、特に素晴らしいフィリピンの人々との出会いに恵まれ支えてもらっているからだと思います。
フィリピンは、hospitality溢れる国と言われていますが、フィリピンで生活する中で本当に実感しています。フィリピンの人々の暖かく、底抜けの明るさに救われている思いです。フィリピンという国、人々の魅力にどんどん引き込まれ、大好きになっていきます。貴重な1年間という留学生活の中で、考えさせられること学んだことを吸収し、一日一日を無駄にすることなく充実させ、成長できるように頑張りたいです。