東京農業大学 「食と農」の博物館 Food and Agriculture Meseum

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平成26年3月28日(金)~9月15日(月)開館10周年記念展示「農と祈り―田の馬、神の馬―」

2014年2月6日

開館10周年記念展示「農と祈り―田の馬、神の馬―」



開催にあたり
 記紀に見る農と馬との関わりは、畔を崩し、馬の皮を投げ込んだスサノオの蛮行に象徴
的に表されているといいます。現代の様変わりした農業を目の前にして、古代から近世ま
での自然と農について考えを巡らすことは、なかなか難しいかもしれません。しかし、祭
祀や伝承あるいは年中行事の中に、歴史の遥か彼方からほんの百数十年前まで、神々の名で
呼ばれていた自然と農の濃密な関係を見る事ができます。
 人々は自然現象の驚異的な力に畏怖の念を抱きながら、それを己が力として取り入れ、
あるいは慰め、もてなす事で神々の加護を得る。そして論理的に解明することで、災いか
ら逃れ、幸運を得ようとする。我々の祖先は実に逞しく世界と対峙してきたのではないで
しょうか。彼らの労働の傍らに寄り添い、かつ神と人との媒介の役目も担ったのが馬でし
た。馬は人間に労力を提供し祈りを司る、両義性を持つ動物だったのです。
 本展では、農と信仰の関係を、馬を仲立ちとした構図でとらえました。多くの場合、そ
れは祈りの形として現れ、現代が試行錯誤する共生の問題に一石を投じるであろうと思い
ます。また、本学の前身である東京高等農学校校長・田中芳男による、伊勢神宮・神宮農
業博物館設立のための、2万点に及ぶ農具取集も、神々への祈りと農との深い関係を再認識
させる物に他なりません。
 減反や機械化による藁不足のため、祭礼用の藁馬が作れず、また少子化で祭事が存続で
きないといった実態は、身近な生活から又一つ祈りの場が失われて行くような焦燥感を覚
えます。本館開館10周年を迎えて、本展が人と農との関係、共生という根源的な問題に対
する手がかりの一助になれば、これに勝る喜びはありません。

                     東京農業大学「食と農」の博物館
                            館長 小泉 幸道

 【会期】平成26年3月28日(金)~9月15日(月)
      ※最終日の展示時刻は大学の都合により繰り上げて終了する場合がございます。
       あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。
 【主催】東京農業大学「食と農」の博物館
 【共催】東京農業大学学術情報課程(協力:学術情報課程履修学生)

★関連講演会
 平成26年
  4月19日(土)「馬の宗教的機能」 小島瓔禮(琉球大学名誉教授)
  5月10日(土)「馬と人の恋―『遠野物語』とオシラ神をめぐって」 前川さおり(遠野文化研究センター学芸員)
  6月14日(土)「日本の馬とその周辺」 木村李花子(東京農業大学教授)
  7月12日(土)「厩猿」 川田啓介(奥州市牛の博物館上席主任学芸員)
    時間:14:00~ (各回とも)
    会場:当館2階セミナー室

★ギャラリートーク
 平成26年
  4月20日(日)、6月22日(日)、8月10日(日) 黒澤弥悦(東京農業大学教授)
  5月18日(日)、7月20日(日)、9月7日(日) 木村李花子(東京農業大学教授)
    時間:14:30~ (各回とも)
    会場:当館1階企画展示室

★同時開催
午年に因む図書コーナー「農大生の書評―活躍した役畜」

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