分子シャペロンの特異的機能解析

 分子シャペロンはさまざまな蛋白質と相互作用することによって、蛋白質の正しい会合を介添えしたり、高温や高塩濃度といったストレスから細胞を守ったりする重要な働きをしており、細胞の健康管理役とか品質管理役と呼ばれている。しかし、個々の基質に対してどのような機構で認識しているかという特異性の問題が近年の大きな課題となっている。枯草菌やシアノバクテリアの高い組換え能を利用した遺伝学的解析や生化学的解析により、分子シャペロンと基質との特異的相互作用を解析していく。
 シアノバクテリアのある種には代表的な分子シャペロンDnaKが3種存在している。同じような構造を持った3種の蛋白質がどうして存在するのだろうか。我々の解析では、DnaK2が熱ショックや光、塩濃度に応答すること、DnaK3は光合成の場であるチラコイド膜に多く局在していることなど、各々が特異的な機能を持つことが示唆された。その役割分担を明らかにするとともに特異性をもたらすメカニズムを解析する。手法としては分子遺伝学的解析による基質の同定や生化学的解析による分子間相互作用の機構、構造と機能の相関性について明らかにしていく。



(テーマ例)

1.HSP70(90)グループの特異的機能解析

  ・基質探索(Y2H, IAsys, 遺伝解析
  ・DnaK と DnaJ の相互作用
  ・ストレス応答シグマ因子SigBの機能に及ぼすDnaK/Jシャペロンの影響


かんたん講座
分子シャペロンとは?