・細胞周期とは

 増殖細胞が増殖刺激を受けると、「DNA複製」により細胞内のDNA量が2倍になり、「細胞分裂」の過程で均等に染色体が分配され、2つの娘細胞を形成します。この現象は周期的に起こることから「細胞周期」と呼ばれ、G1期→S期→G2期→M期の4つのステージを1方向のサイクルで進んでいると考えられています。
 この細胞周期の進行を担っているものが
Cdk(サイクリン依存性キナーゼ)と呼ばれるリン酸化酵素タンパク質で、周期を通じて安定的に存在をしているのですが、リン酸化活性は周期の進行に伴い変化します。このリン酸化活性の制御をサイクリンというタンパク質が行っており、サイクリンがCdkに結合することでリン酸化能が活性化され、周期を進行させています。
 細胞周期が進行する上で細胞外からのストレス(UV・発ガン剤など)によりDNAが損傷してしまうと、一旦DNAを修復するためG1期で停止します。これを
G1チェックポイントといい、細胞周期のブレーキ役であるCdk阻害因子(CKI)というタンパク質がCdkもしくはCdkーサイクリン複合体に結合し周期の停止に関わっています。細胞周期の異常により起こる疾患の代表的なものにガンがありますが、ガン細胞の多くはG1チェックポイントの異常が大きく関わっています。






・細胞周期とは
細胞を環八を走る乗り物、Cdkはエンジン、サイクリンはアクセルでCKIをブレーキと表すことができます。
もし、この環八で事故が発生したとすると、善良なドライバーは危険を察知してブレーキを踏み停止をしますが、暴走族のような悪いドライバーは停止せずに走り続けます。これが細胞周期におけるガンといえるでしょう。

このように増殖細胞では、上記のタンパク質をはじめ、異常を察知するタンパク質など様々なタンパク質同士が相互作用をすることで、一連の周期制御(DNA複製・細胞分裂・ガン化抑制・・・など)を行うためのネットワークを形成し、外部からのシグナルに対して速やかに応答することができるのです。