昨年度の同時期、筆者は南信に行ってかの有名なTsujius itoi K.Ikeda,2001(以下ツジウス)を狙って、見事に外したのだが、今年はその忌まわしい記憶の払拭を目的に再挑戦することを決意した。
遠征は四日間を予定し、私の父と後輩の長野とともにかの地へと向かった。渋滞が予想された中、なんとか迂回して到着した。
天候に恵まれることを祈り林道へと進む。 以下、四日間をダイジェストで送る。
~一日目~
蒸し暑いほどの日差しに苛まれる中、私を含めた幾人かのカミキリ屋が集う。有名なコナシの花や林道の大楓はすでに人が集まってしまっていたために別の楓へ。
Graphyraやヤマトシロオビトラ等は多数現れるが奴は飛来してこない。
そんな中、
(長野)「すみません先輩・・・」
(私) 「どうした?」
(長野)「・・・採れてしまいました・・・ツジウス」
長野へ文句を言いつつ、ツジウスが現れた楓へ。周囲はアカマツに囲まれ、日差しも適度に差す良好そうなポイントだったので粘ることに。
結局この日は最後にピニボラをネットインして終わった。
(ツジウスを得て満足げな長野)
~二日目~
昨日に続き高温・日差し・無風と良好な条件に思えたがピーク時間に入ってもヤツどころかGraphyraすら飛んでこない。大楓においても入るのはヒナルリハナやシロトラなどのいわば凡品ばかりである。
しびれを切らし昨日のポイントへ・・・
ここでは流石というべきか、時間とともに入る天牛たちが多くなっていくのがわかる。
ピーク時間が終わりに近づく中、ふと楓の樹冠の花つきが良い場所を眺めていると何か天牛飛びしている小さい昆虫が見えた。
これは!と思いスイーピング。網の中を見ると上翅が赤いものがせわしなく動いているではないか。
まさにそれは・・・
Tsujius itoi K.Ikeda,2001
(歓喜のあまり変なポーズの筆者)
感動である。リベンジは無事果たせたのだ。変なポーズとともに雄叫びを上げ、興奮の中試験管にツジウスを収めた。
~三日目~
感動冷めやらぬ中、三日目はまさかの雨。昨日までの気温が信じられないような寒さである。この日は林内にて材採集を行った。樹種はハリギリ、アカマツ、ダンコウバイなどである。ダンコウバイでは砕いている途中にキイロメダカが得られるなど嬉しい誤算もあったが、やはり花に飛来する昆虫が採りたいという気持ちが勝り、悶々とした一日を過ごしたのだった。
~最終日~
雨の影響か、気温は午後になるまで上昇せず、昆虫の飛来も乏しい。そんな中でも大型のハバチや幾種かのカミキリは現れてくれた。
しかし私が狙っていたツジウスの追加は無く、悔しくもここで帰路へつく。
来年以降また時間があれば、クビアカハナやカエデノヘリグロハナ、ツジウスを狙いに行ってみたい。同行してくれた父及び長野には非常に感謝しています。また一緒に行きましょう!
学部4年
川村玄季