<2>財務
1.現状の説明
(1)教育研究を安定して遂行するために必要かつ十分な財政的基盤を確立しているか。
〈1〉中・長期的な財政計画の立案
中長期的な財政計画としては、毎年度5〜10年先までの施設設備整備計画案に対応する財源確保を中心に策定している。
〈2〉科学研究費補助金、受託研究費等の外部資金の受け入れ状況
1)科学研究費補助金
本学における過去7年間の文部科学省科学研究費補助金の申請件数、採択件数及び交付額は、次のとおりである。
年度 |
申請件数
(新規) |
採択件数
(新規) |
採択率 |
総採択件数(継続分を含む) |
交付額 |
2005年度 |
127件 |
17件 |
13.4% |
47件 |
142,260千円 |
2006年度 |
137件 |
22件 |
16.1% |
47件 |
138,420千円 |
2007年度 |
126件 |
11件 |
8.7% |
44件 |
136,620千円 |
2008年度 |
146件 |
25件 |
17.1% |
51件 |
165,430千円 |
2009年度 |
159件 |
30件 |
18.9% |
57件 |
159,580千円 |
2010年度 |
139件 |
14件 |
10.1% |
75件 |
250,460千円 |
2011年度 |
136件 |
26件 |
19.1% |
77件 |
255,780千円 |
この7年間の推移を見ると、申請件数はほぼ130〜140件程度で一定しているが、新規採択件数は10〜30件の間で年によって変動がある。一方継続分を含む総採択件数は、2009年度までは50件前後で横ばい状態であったが、2010年度に70件台に達し、2011年度もそれを維持している。これは、新規の採択件数が増えたというよりも、前年度からの継続課題が多かったためであるが、いずれにしてもこの2年間で採択件数及び交付額は大幅に伸びたといえる。なお、2011年度の申請件数の専任教員数に対する割合は、45%である。
2)受託研究費(共同研究費を含む)
本学における過去8年間の受託研究費(共同研究費も含む)の受入件数、受入額は、次のとおりである。
|
受入件数 |
受入額 |
2003年度 |
82件 |
313,410千円 |
2004年度 |
83件 |
263,827千円 |
2005年度 |
124件 |
188,965千円 |
2006年度 |
118件 |
246,241千円 |
2007年度 |
133件 |
207,135千円 |
2008年度 |
130件 |
241,276千円 |
2009年度 |
138件 |
286,728千円 |
2010年度 |
134件 |
220,754千円 |
この8年間の推移を見ると、受託研究費の受入件数は増加傾向にあるが、受入額は2003年度をピークに減少傾向にある。これは、省庁関係の額の大きな委託事業の減少と共に、我が国の厳しい社会・経済情勢の中に置かれた企業の状況の一端を表している。
3)寄付金(教員に対する研究助成金=奨学寄付金のみ)
本学における過去7年間の寄付金(奨学寄付金のみ)の受入件数、受入額は、次のとおりである。
|
受入件数 |
受入額 |
2004年度 |
29件 |
17,165千円 |
2005年度 |
36件 |
37,278千円 |
2006年度 |
33件 |
29,433千円 |
2007年度 |
33件 |
27,737千円 |
2008年度 |
32件 |
34,390千円 |
2009年度 |
36件 |
40,079千円 |
2010年度 |
37件 |
40,257千円 |
〈3〉消費収支計算書関係比率および貸借対照表関係比率の適切性
1)消費収支関係比率について【大学基礎データ表7】
学生生徒等納付金比率は、全国平均より高い比率となっている。これは2007年度に実施した学費改定による収入増が主な要因である。従って、収入財源の学生生徒等納付金に依存する割合が高いといえる。
寄付金比率は、全国平均より低い比率となっている。今後一層の募金活動等について積極的に推進する必要があり、本学創立125周年にあたって寄付金募集を行う計画である。
補助金比率は、全国平均より近年は低い。これは財政状態が良好な学校法人に対する文部科学省の補助金減額強化方針に伴う私立大学等経常費補助金等の減額を主因とするものである。
人件費比率は、全国平均より各年度ともかなり低い比率(各年度7〜12ポイント低い)となっている。これは2007年度に実施した給与改定に伴う人件費適正化が効果をもたらしている。
また、健全財政の継続を図る観点から、2010年度から「退職金の期末要支給額の100%を退職給与引当金として計上する」こととした(2009年度までは同支給額の50%を計上)。2010年度の人件費比率が高いのは、退職給与引当金特別繰入額36億円(学校法人全体)を計上したためである。
教育研究経費比率は、全国平均より高い比率(各年度1〜6ポイント高い)である。社会のニーズに対応した教育研究条件等の改善・向上については、極力考慮するよう毎年努めた結果である。
管理経費比率は、全国平均より低い(各年度2〜3ポイント低い)である。毎年、管理及び事務に係る経費については、業務の見直し、経費の効率的使用の推進に努め経費節減に配慮した結果である。
借入金等利息比率は、全国平均より低い。2010年度末の借入金総額は8億円で資産総額の0.6%である。
2) 貸借対照表関係比率について【大学基礎データ表8】
学校法人会計基準では、貸借対照表を学校法人全体で作成するので、ここでは学校法人全体の比率で検証する。なお、本法人全体のうち東京農業大学の占める帰属収入の割合は、69.3%(2010年度決算)であり、学校法人の中核となっている。
資産構成を見る比率は、固定資産構成比率、流動資産構成比率及び減価償却比率がある。固定資産構成比率及び流動資産構成比率は、全国平均とほぼ同じ比率で推移している。
自己資金の充実度を見る比率では、自己資金構成比率、消費収支差額構成比率及び基本金比率がある。本学は、いずれの比率においても全国平均を上回った高い比率であり、自己資金は充実している。
負債に備える資産の蓄積度を見る比率には、流動比率等がある。本法人の同比率は高く推移しており、財源は安定している。

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