短期留学|タンザニア・ソコイネ農業大学
土肥 馨
国際農業開発学科4年
タンザニア短期留学プログラムに参加して
留学内容:ソコイネ大学見学・講義受講/市場見学/農村視察
2014年8月~2週間
東京農業大学の海外短期留学プログラムを利用して2014年8月に2週間タンザニアに短期留学しました。2週間という短期間でしたが、タンザニアの多様な民族、宗教や慣習に触れていくことで私がこれまで持っていたアフリカや世界のイメージが大きく変わりました。また、タンザニア独自の作物やその作物の栽培方法および市場流通についても学ぶことができました。
タンザニアの首都ダルエスサラームは都市開発の建設ラッシュの真っ盛りであり、至る所で建設中の高層ビルの工事現場が目に着きました。首都から国道の長い渋滞につかまりながら、最初に訪れたのはモロゴロにあるタンザニア国立ソコイネ農業大学でした。1984年に創立されたソコイネ農業大学では農業工学、農業経済学、作物育種学、土壌学、食品科学、畜産学、アグリビジネスなどの多岐多様な分野について学ぶことができます。ソコイネ農業大学では図書館、研究室、学生寮、食堂など日本の大学と同じような施設があり、生活するにおいて特に不自由することはありませんでした。
タンザニア滞在中に見学したキバイグワ公営マーケットはタンザニア有数のトウモロコシの取引場所であり、国内で収穫された何百トンものトウモロコシが取引されています。ここで取引されるトウモロコシのほとんどは隣国ケニアに渡っています。またキバイグワ公営マーケットではトウモロコシのほかに香り米やサフラン、ヒヨコマメやササゲなどの豆類、香辛料も取り扱われ、地元の人々もこのマーケットを利用しています。
留学期間中に独立行政法人国際協力機構(JICA)が行っているタンザニア農業支援の拠点となっているキリマンジャロ農業技術者支援センター (KATC)も見学できました。KATCの近くには同センターが管理・運営しているローアモシ灌漑地区があり、そこでは近代的なイネの栽培、育種の訓練が行われています。タンザニアの水田を見て印象的だったのは、日本らしい形の水田に唐突にポツンポツンと大きなバオバブの木があることでした。タンザニアの人々はバオバブの木を切るのをためらう人が多く、大きなバオバブの木などを残しながら開拓するようです。
ローアモシ灌漑地区には、Mabogini Intakeと呼ばれる取水堰、Rau Intakeと呼ばれる取水堰、Oria-Chekereniと呼ばれる分水工およびいくつかのダムがあります。これらの取水堰で各所の水田の水の配給量を調整するのですが、まれに上流と下流の人々で水の争いが起こることもあり、下流の人々が上流にある取水堰にダイナマイトを仕掛けて爆破しようとした事件もありました。世界の水不足の問題はニュースなどでよく見かけますが、水が火種となった争いの現場を初めて間近にみました。
短期留学でタンザニアに行くまでは、アフリカは世界に取り残された原始的な地域と考えていましたが、実際に行ってみると首都には高層ビルが建ち始めていて、郊外では近代的な農業が普及しており、これまで想像していたアフリカの全体像が大きく変わりました。