短期農業実習|ウガンダ
高田亜由美
国際農業開発学専攻博士前期課程
ウガンダ渡航記
実習内容:イネウイルス病発生調査・検出実験/教員の研究調査に同行/研究所での実験、市場や農家訪問、協力隊員との交流
2014年8月~2週間
2014年夏の約2週間、指導教員の夏秋教授が実施しているアフリカイネに発生するウイルス病の調査のためにウガンダへ行きました。海外へ調査に同行する機会があればと希望はしていたのですが、まさかウガンダに行くことになるとは思ってもみませんでした。もう時効だと思うので申し上げておきますと、お話を頂いた時点でウガンダがどこにあるのかも知らない状態でした。また、パスポートの取り直しや、いくつかの予防接種など、準備が大変であったように記憶しています。パスポートの取り直しに際して、海外に行くから作るのではなく、作れるときに作っておくべきだと思いました。持っていれば旅行や調査、ボランティアなど様々な場面で何かとフットワークが軽くなる気がします。特に開発学科の学生であればいつ海外に行く機会が来るとも分かりませんから、持っておいて損になることは無いはずです。準備段階のことだけでもいくらでも書けるのですが、今回は割愛いたしまして、ひとつだけ、これから初めて試薬を持って海外調査へ行く方に注意してほしい点を述べます。『試薬はメディウム瓶でなくプラスチック製チューブに入れるべきである』この一点に尽きます。プラスチック製チューブはメディウム瓶と違い割れるということも、蓋が緩むということもほぼ無いので輸送に関して心配事がほとんどありません。
さて、実際にウガンダへ行ってからですが、滞在中はNational Crops Resources Research Institute(NaCRRI)でお世話になりました。到着したのが木曜日ですぐ週末になってしまったので、市場見学に行きました。日本との違いで特に驚かされたのは人混みです。とにもかくにも、人が多い。アジア・アフリカの市場といえば人が溢れているという印象を持っていましたが、まさにその印象と合致していました。そしてアフリカ人独特の体臭、市場で売られている生きた鶏のにおい、生ゴミのにおい、どれかひとつであればそれほど問題では無いものの、これら全てが混ざり合うことでなんとも言えないにおいとなり、元来人混みが得意ではない私は情けないことに市場ですぐにダウンしてしまいました。一刻も早くドミトリーのあるナムロンゲ(田舎の方で自然に溢れた地域)に帰りたいとさえ思いました。
週が明けてからは本格的に調査や実験が始まり、圃場調査に同行するほか、私も研究対象としているウイルスの検出実験を行いました。結果は出たものの、やはり電気の供給が安定しない場所で、電気が必要で複雑な実験を行うのは難しいということが分かりました。慣れない場所であることに加え、常に停電を気にしなければならない実験というのは日本ではできない体験であるものの実験者としては辛いものがありました。そういった環境であることを受け入れるほかなく、日本で不自由なく実験できるありがたみをしみじみと感じました。
2週間という短い渡航期間を終えて日本に帰ってきて感じたのは、ありきたりな感想ではですがお湯がいつでも出てくるということ、近所に24時間営業のコンビニがあること、食べ物のバリエーションが豊富であることがいかに素晴らしいことであるか、ということでした。
私は大学院に進学し、ウイルスの研究を続けていますが、ウガンダ訪問は上記で述べた以外にも、ウイルス病が発生している現場を見たり、その対策のために尽力しているJICAの専門家や海外青年協力隊の方々に会ったりと、忘れられない体験になっています。