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1.基礎情報
(1)特色
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(3)組織改編等の予定
2.取組について
(1)概要
(2)プログラムとの適合性
(3)実現可能性
(4)教育の社会的効果等
(5)評価体制等
3.取組の実施計画等
(1)平成17年度
(2)平成18年度
(3)平成19年度
4.事業に係わる経費
(1)平成17年度申請経費
(2)申請予定額
(3)経費措置の状況
5.過去の選定状況
(1)選定状況
6.資料
(1)資料-1
(2)資料-2
(3)資料-3
(4)資料-4
(5)資料-5
(6)資料-6
(7)資料-7
(8)資料-8
(9)資料-9
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2.取組について

(2) プログラムとの適合性

 もともと、農学のプログラムは本来的に実践性の強い性格を持ち、フィールドワークが必要とされる性格を持っていた。しかしながら、近代農学は分子生物学や医学分野の研究が中心になると、分析的な研究が中心となり研究領域も細分化されて、その研究の体系性と実践性が乏しくなり、現在の農学の有効性とその再構成が求められてきていると言っても過言ではない。その意味で、本学が1989年以降に生物産業学部を網走市に設置して、生物資源の宝庫であるこの地域を基盤とした生物産業を研究のフィールドワークとして活用し、生産・加工・流通・経営を生物と産業の視点から文理融合を行う研究を当地で開始した背景には、こうした問題点を克服しようとする教育・研究的見地からであった。こうした研究教育のプログラム化と実現性を具体化していくために、二つのプロセスが必要となる。第一のプロセスは行政・自治体・産業(企業)・NPO・市民・農民という学外の団体の連携とコンソーシアムの実現であり、第二には教職員(これには必要に応じて3キャンパスの全教職員が総合的に関わる)・学生(これも同様である)・父母(教育後援会でこれも同様である)の連携した学内横断的コンソーシアムの形成であり、この二つのコンソーシアムを融合化させる総合的なコンソーシアムが本プログラムの目標である。

 これまでの実態としてもすでに試行錯誤の過程で徐々に実績を積み上げ、今日までに衰退化する地域の再活性化に大きな役割を果たしてきている(資料−2,3参照)。たとえば、地域での産・官・学・民のコンソーシアムの形成に関しては、16年前からオホーツク・大学間交流協議会が管内の5大学(道都大学・北見工業大学・北海学園北見大学・日赤看護大学・東京農業大学)で設立されて活動を行い、コンソーシアムの形成とその地域活性化の実績を既に作り上げてきている。これは、任意団体ではあるがNPO的な活動を行ってきており、1995年には日本学術会議北海道地区会議が開催した「環オホーツク海圏の将来」の開催を行い、北海道と網走支庁管内ばかりではなく広域交流圏としての環オホーツク海圏交流を目指した活性化の課題を議論してきている。

 さらに、2003年度からは、網走市が地域に根ざした政策を実現するための政策提言を市民と農大(これには学生も参加するが)とで形成した網走政策塾(資料−4,5,6,7参照)というコンソーシアムも開設され、ここで掲げる体験型ツーリズムの具体化を提言するようなプログラムをも見せてきている。また、網走寒冷地農場では、北海道開発庁網走開発建設部との産学官連携プロジェクトを学部開設以前から持続的に展開してきた(資料−8)。加えて、産学協同による具体的なビジネス化の動きも進み、網走地ビール開発への援助や魚醤の開発、オホーツクます寿司の製造など、地域の起業化や地域産品の開発とブランド化に大きな成果をもたらしてきている(資料−9)。しかし、これまでの取組にはその方式において種々の問題点があった。もっとも大きな問題点は、地域的な連携やコンソーシアムの形成が、個々人や教員の研究室、学科、農場単位のレベルでなどのパーソナリティーや個々の単独の組織でのみ実施されてきたという点である。こうしたいわばバラバラに実施してきていたプログラムを総点検するという意味で、そのプロセスをリエンジニアリングし、そのうえで全体的に再構築する事がより実効性のある研究教育体制の構築につながっていくという考えの下、このプログラムに向けたプランニングを進めていきたいと考えている。

 いずれにせよ、これらのプログラムは東京農大の実学主義を現代の科学の視点から、北海道という広大なフィールドの中で実現しようとするものであり、21世紀における農学プログラムを総合的に再点検すると共に、オールド・アカデミズムからのメタモルフォーゼを実学主義という新しい皮袋に盛り込む事で、文理融合型の教育プログラムの形成を目指し、最終的には地域活性化に繋げていこうとするものである。

 また、バイオテクノロジーや細分化された分析農学に象徴される従来のアカデミズムの体系にある農学を打破して、実践総合農学を新たに再構成すべき時を迎えていると思われる。このプログラムではこうした中に実践性を重視した、生物という理系的な課題と産業という社会科学における課題が、自然と人間との物質代謝過程から持続的な視点として、融合化され総合化されることが求められており、農学の再点検(リエンジニアリング)をも目指そうとするプログラムである。