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スーパー農学の知恵

鍵と鍵穴の関係とは?!

応用生物科学部バイオサイエンス学科 教授 矢嶋 俊介


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頭痛に悩まされたとき、私たちは薬を飲み、痛みを和らげます。では、薬はどうやって頭痛をなくしているのでしょうか? まず、口から入った薬が血液に吸収され、身体に広がります。そして、薬の中に入っている有効成分が、最終的にあるタンパク質に結合することで、タンパク質の働きを抑え、痛みを止めるのです。

たとえば、人間は約数万種類のタンパク質を持っていますが、鎮痛剤のアスピリンという有効成分は、その中のたった1種類のタンパク質に結合し、その働きを抑えることで痛みを消します。これは鍵と鍵穴の関係と同じで、お互いの形がぴったり合うことで痛みを抑えるのです。

この鍵と鍵穴の関係は近年になって発見されたことで、それまでは経験的に知られていたり、たまたま使ったら効果があったという具合でした。

 

ヒトのタンパク質の形をチェック!

現在、ゲノムの解析が進み、標的になりうるタンパク質がいろいろと明らかになってきました。いま、私たちは細菌が作るタンパク質の形を調べています。このタンパク質は人間にはありませんから、もしこのタンパク質に結合して、その働きを抑える物質を作れれば、人間には影響せずに細菌だけを殺すことのできる抗細菌剤となる可能性があります。

しかし、タンパク質は非常に小さく、分析機器で測定し、大量の計算を行ってコンピューター上でその形を見ることになります。数年前に発売されたインフルエンザの経口薬は、このような方法で作られたものです。とはいっても、新薬を作るのは簡単なことではなく、今後の技術進歩により、簡単に薬を作られるようになると期待しています。

(機能性分子解析学研究室)

 

 

 

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