東京農業大学

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教員コラム

「地域を学び舎」の教育研究活動 人材育成・ビジネスネットワークづくりで成果

2017年10月1日

名誉教授 美土路 知之

オホーツクの地域資源 Foods Who(19)・最終回

 本シリーズでは、北海道東部のオホーツクを舞台に、陸海の素材とそれを生かした地域ビジネスを推進する人材と、1次生産から加工・流通ビジネスまでの展開を紹介してきた。それは、高齢化や人口減少で苦境に立たされる地方都市の再生と活性化への挑戦であり、同時に、30年近くにわたり、「地域を学び舎」とする教育研究活動を続けてきた東京農大北海道オホーツクキャンパス・生物産業学部の教職員と学生の歩みでもあった。
 特別講義「地域資源によるフードマイスター育成」では、4学科の壁を越えた取り組みで地場産品の商品開発を進め、既に何点かは販売に至っている。また、8年前に開塾した社会人向けの「オホーツクものづくりビジネス地域創成塾」には、北海道内外から入塾希望者が集まり、これまでに120余名の卒塾者を出している。こうした取り組みはいずれも、キャンパスを飛び出し、地域との幅広い協働とネットワークづくりにつながった。
 例えばvol.10で紹介したオホーツク産小麦100%の「生ひやむぎ」は、製麺所経営者が「地域創成塾」を受講したことで生まれた。商品ブランディングの重要性を実感した経営者が、地場産小麦100%で地域が誇れる商品開発を思い立ち、地元JAなどと連携して事業を展開。その取り組みは「東京ビジネスサミット2013」で優秀賞を獲得、販路は首都圏にまで拡大した。さらに、ミラノ万博2015にも北海道を代表して出展するなどの成果を生んだ。これ以外にも、オホーツク産の農産物や酪製品、畜産物、水産物などを素材としたアイテム数や技術的蓄積は、この10年ほどで大きく進捗した。
 質量ともに豊かな地域資源と、商品開発を通じたビジネス展開で地域の協働関係を構築しながら、オホーツクの地域社会と経済の振興に、多少なりとも寄与してきたと自負している。その成果は東京農大の大きな財産となっている。言い換えれば、素材、技術、ビジネス、人材育成とネットワークづくり、これらのキーワードが一体となった実践と教育が地域活性化の重要なフィールドとなっていることも明記しておきたい。
 19回にわたり連載してきたオホーツクの食材、地域ビジネス物語(FoodsWho)は、今回でひとまず終了する。お付き合いいただいた読者諸賢には感謝申し上げたい。

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