東京農業大学

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教員コラム

家畜はいつもリラックスしている?!その秘密は遺伝子にある!

2009年7月17日

農学部畜産学科 准教授 野村 こう

性格をつかさどる遺伝子とは

親子は顔も似ていますが、性格もかなり似ている部分があります。実は、最近のゲノム研究で、性格を作る遺伝子の正体がわかり始めています。遺伝によって決定されることがわかっているのは、好奇心の強弱や引っ込み思案の程度、世間体を気にするかどうか、しつこさの程度など、少なくとも10の要素はあると考えられています。

性格をつかさどる脳は、50種類以上の神経伝達物質を使ってさまざまなやり取りを行っていますが、そのなかのドーパミンという神経伝達物質は別名「脳の快楽物質」と呼ばれ、ドーパミンが不足するとやる気がなくなって無感動になったり、逆に多くなると新しい経験やスリルを追い求め、飽きっぽくなるといわれています。このドーパミンの量を制御したり、放出したりするのが遺伝子で、性格の違いに現れてくるというわけです。

 

家畜動物にある楽天的な遺伝子

家畜は野生動物と違って人から食べ物をもらい、人にすり寄ってきます。つまり、比較的、おおらかで楽天的な性格の持ち主なのです。家畜は人間が長い時間をかけて改良したものですが、人の目的にあわせて新たな性質の動物を作り出すことを「育種」といい、家畜育種学研究室では、野生動物が家畜化することによって変化する遺伝子を見つけようとしています。一目でわかる変化として毛色があります。たとえば、家畜には野生動物には見られない色合いやブチなどの毛色変異があります。

最近では目や毛髪の色と性格の関係を解明する研究も発表されています。家畜の穏やかな性格を特定する遺伝子が発見されれば、警戒心の強い野生動物を家畜化したり、ストレスの多い人間がリラックスできる方法も見つかるかもしれません。

(家畜育種学研究室)

 

 

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