東京農業大学

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教員コラム

麺を通じた6次産業化推進コーディネーター

2016年11月1日

生物産業学部地域産業経営学科 助教 小川 繁幸

オホーツクの地域資源 Foods Who(10)

伝統的な製麺のノウハウをいかす

 現在、北海道各地では、昨今の農林水産業の6次産業化推進の社会的風潮もあって、地域の特産品を活用した商品開発に力が入れられている。特に北海道では小麦の産地ということもあり、麺製品の開発が積極的に行われているが、北海道内外から着目されているのが(株)ツムラ(写真1)である。(株)ツムラは道産小麦での商品開発にこだわり、製麺業者としての強みと(株)ツムラのルーツである讃岐うどんのコシをいかした開発に取り組んできた。その代表的な商品が、地場産小麦100%・無添加の「生ひやむぎ」である。生パスタのような触感と生麺だから生まれる“つるっとした”のどごしは、地元のみならず、道内外のスーパー、デパートからも着目され、昨年は北海道の代表的な食としてミラノ博の出展アイテムにも選定された(写真2)。
 このような(株)ツムラの飛躍の背景には、津村千恵氏((株)ツムラ・部長)の東京農大生物産業学部が開講する「オホーツクものづくり・ビジネス地域創成塾(生物産業学MBAコース)」の受講がある。津村氏は受講にあたって (1)首都圏へ販路開拓や販路拡大の経験 (2)より質の高い商品開発のための情報収集 (3)地域に根ざしたアンテナショップ経営の下地づくり (4)ネットワークから生まれる地域資源の活用を目標に掲げた。特に (1)に注力し、2013年9月に出展した「東京ビジネスサミット2013」の食部門において、見事「生ひやむぎ」が優秀賞を受賞。知名度が徐々に向上し、販路は首都圏にまで拡大している。

加工業者だからできる取り組み

 創成塾への受講を通じて、商品ブンランディングの重要性を実感した津村氏は、素材へのこだわりを徹底するために、地場小麦100%を使った地域が誇りを持てる商品開発に努めている。その一つが地元のJAと飲食店と連携して、地場産ラーメン麺用小麦「つるきち」を核とする6次産業化の推進だ。
 また、(株)ツムラは創成塾での学び(事業計画・企画書の作成など)をいかし、補助事業の獲得に積極的にチャレンジするなかで、乾麺の製造機の導入に踏み切り、新たな顧客層の開拓のために乾麺という新たな事業部門を設けることになる。結果、地元のJA、農業生産者も自らの小麦を活用した首都圏向けの商品を委託製造することになり、今では(株)ツムラはオホーツク地域の6次産業化を推進する上で欠かすことのできないキーパーソンとなっている。現在、(株)ツムラでは地元JAとの連携の更なる展開として、学校給食のメニュー共同開発や商品化などにもチャレンジしている。そして、地域の生産者等との連携ネットーワークが広がり、生産者と企業のビジネスマッチングのサポートも担っている。

写真1 (株)ツムラの皆さん(前列中央男性:社長の津村健太氏、前列中央女性:部長の津村千恵氏)
写真2 オホーツク産小麦100%の「生ひやむぎ」と日本唯一のアゴ本枯節のつゆとのセット商品「無敵の切麦」 ※商品名は本学の小泉武夫名誉教授が命名

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