東京農業大学

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教員コラム

2015年ミラノ国際博覧会

2015年5月1日

地域環境科学部 森林総合科学科 教授 江口 文陽

天然物を利用した食彩(2)

ミラノ発“特用林産物”のすばらしさ 日本においても活用を

 イタリアのミラノと聞くと誰もが世界的なファッションの発信地であり、1976年から開催されているミラノ・コレクション、アルマーニやヴェルサーチなどのデザイナーの活躍を思い浮かべるだろう。ミラノはファッションやイタリア経済の中心都市として名を馳せるばかりではなく、サッカーなどのスポーツにおいても多大な情報を発信する世界都市だ。
 このミラノにおいてFeeding the Planet, Energy for Life(地球に食料を、生命にエネルギーを)をテーマに2015年5月1日から10月31日の184日間を会期として2015年ミラノ国際博覧会(EXPO Milano 2015)が開幕した。
 会場面積は110ha、入場者数は約2,000万人と想定され、148カ国・地域・国際機関が参加して情報発信が行われる。
 ミラノ万博には日本館も出展されており、「Harmonious Diversity ─共存する多様性─」を出展テーマに日本の農林水産業や食を取り巻くさまざまな取り組み、「日本食」や「日本食文化」に詰め込まれた多くの知恵や技が、人類共通の課題解決に貢献、多様で持続可能な未来の共生社会を切り拓くといったメッセージが発信される。
 私もミラノ万博のテーマ、日本館のコンセプトなどに関わる一人として「ミラノ万博日本館サポーター」に農林水産大臣および経済産業大臣より任命され、農林水産物の中でも特用林産物(きのこ・わさび・山菜・竹の子・木の芽・炭など)の魅力や機能性を発信してきた。
 私たち日本人は、自然と共生する多様な農林水産業を礎に、米を主食とし、うま味や発酵技術を活用しつつ、魚介類や野菜などさまざまな「食」を享受してきた。また、自然の英知を謙虚に取り入れながら、高度な伝統工芸技術・職人技を食器や調理器具、食空間にまで反映させ、豊かな「食文化」を築き上げてきた。その情報や食のすばらしさが日本館で開催される展示、各種イベント、館内出展レストランなどから世界に発信・提供されるのだ。世界の方々ばかりではなく、多くの日本人、農林水産物や食を愛する人々にイタリア・ミラノに足を運んで五感で感じてもらいたい。農林水産業や食をとりまく多様な取り組み、日本食・日本食文化に詰め込まれた多様な知恵と技、日本が培ってきた「多様性」は、食料問題など地球規模の課題に貢献する大きな可能性を秘めていることをこの万博において再認識いただく実学のチャンスとなるはずだ。私の職命として特用林産物の食彩を写真で紹介する。

ミラノ万博日本館の詳細は http://www.expo2015.jp/

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