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卒業生・便り

シバの女王の国から      国際協力機構・国際協力専門員 力丸 徹(11期 昭和48年卒) 

農大を卒業(栄養学科11期)して35年が過ぎました。 私は、現在国際協力機構(JICA)の国際協力専門員をしています。 大学卒業後は、徳島大学の大学院(修士および博士)に進み、その後東京都老人総合研究所に研究員として10年ほど勤務しました。 これは私が描いていた進路にほぼ一致しており研究者として一生を終える覚悟でした。 この間、パプアニューギニアやガーナで仕事をする機会があり、それが縁で途上国の栄養問題に興味を持ち、その道で仕事がしたいという願望を持つようになりました。 そしてJICAの国際協力専門員の試験を受け運よく採用された訳です。 その時は難関を潜り抜けた喜びがありましたが、研究者や大学人はアカデミックな世界が一番と考えている人が多いので、 多くの友人や知り合いは、力丸は訳のわからない世界に滑り落ちて行ったと思ったのではないでしょうか。

これまで行った国は50ヵ国を超えますが、長期に滞在したのは、ガーナ、タンザニア、米国、ネパール、エジプト、イエメンです。トータル17年ぐらい海外で生活しています。一番長いのは通産で5年のガーナ。 ガーナ大学の基礎医学研究所にいましたが、自分の指導したスタッフが現在はその研究所の所長になったり、WHOの正職員になったりしています。 時があっという間に過ぎた感じです。米国のカリフォルニア大学デイビス校に留学しているときは、偶然に村君(食品科学教授、同級生です)に同じキャンパスで鉢合わせになった経験もあります。

栄養学をベースにした仕事をしてきましたが、我ながらよくここまで脱落もせずやって来たものだと思うことがあります。 仕事は様々で以前は栄養調査研究指導、最近は栄養政策策定などの指導などを行っています。 ただ相手は、政府のカウンタパートだけではなく、ドナー関係者なども含まれます。会議も非常に多いです。 楽しさと厳しさと、悔しさと自惚れとごちゃごちゃと混ざり合った生活の連続です。 必要なことは、知識と技術と語学とハッタリでしょうか。とは書いたものの、ハッタリよりは実はその場でとっさに対応できる「賢さ」が必要です。 こういうものが兼ね備わるように、20代で徹底的にトレーニングされて途上国に出向くのが本当は理想的だと思います。 振り返れば随分無謀であったと思いますが、国際協力をしながら日々勉強して(??)ようやくある程度のレベルに達したような気もしています。

私は現在「シバの女王の国」に住んでいます。アラビア半島の南端の国、イエメンです。 あまり馴染みがないと思いますが、最近はソマリア沖の海賊問題やサッカーの対戦国として時々ニュースに出るようです。 ここでの仕事は、イエメン保健人口省家庭保健局栄養部の栄養アドバイザー業務です。3年目になりますが、今年から新規に地域母子栄養プロジェクトがJICAの協力で開始されます。 そのプロジェクトリーダーとして活動にかかわることなっていますので、しばらくはイエメンで生活することになります。 首都サナア(海抜2300m)に住んでいますが、ここの問題は、空気が薄いこと、乾燥がきついことでしょうか。 それから、女性のほとんどが顔をベールで覆っているために女性の顔が見られないのも問題です。イスラム教国なのでお酒を手に入れるのがたいへんです。 生活は非常に厳しいのですが、立ち上げた栄養プロジェクトを何とか成功させることは、この道に入ってからの一番の念願だったので、漸く自分の希望の光がチラチラと見えて来たところです。

栄養分野の国際的な取り組みはますます重要視されてきていますので、学生さんや新進気鋭の若手には是非国際栄養の道にも進んで来て欲しいと願っています。





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