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実学主義の理念を支える東京農大の戦略的研究

平成25年度 大学院博士後期課程研究支援制度「採択者の声」

平成25年度 大学院博士後期課程研究支援制度「採択者の声」

2014年1月30日(木)に、平成25年度大学院博士後期課程研究支援制度採択者による「研究成果発表会」をポスター発表形式にて開催しました。東京農大の大学院では現在、550名を超える院生が、農学を通して世界に貢献しようと様々な研究活動を展開しています。今年は、その中で同制度に採択された博士後期課程に在籍する24名の院生が、公開発表を行いました。
当日は、100名を超える学部生・短大生・教職員が来場し、研究を実施した大学院生から直接説明を受けました。将来大学院への進学を考えている学部生・短大生にとっては、大学院生がどのような研究をしているのか知ることができる絶好の機会となりました。
今回は、院生のトップランナーともいえる採択者の声を先生方や後輩に伝える目的として、5名の院生に作成してもらいましたのでその内容を掲載します。


<大学院博士後期課程研究支援制度とは>
将来を担う優秀な研究者を育成するため、大学院修了後、大学等の研究機関で研究者を目指す者を対象に、大学院博士後期課程の学生を対象とした学内公募による研究費支援制度。大学院博士後期課程に在学する段階から、科学や社会の発展に貢献できる研究テーマを自ら探し出し、自立した立場で、研究計画の立案・実施・経費執行といった一連の研究活動を実際に経験することができます。
研究代表者:和久 大介  専攻・学年:バイオセラピー学専攻 博士後期課程・1年 

<研究課題名>
分子系統学的手法を用いたニホンカワウソの系統分類の再検討
<研究の概要>
絶滅したニホンカワウソの北海道個体群はLutra lutra whiteleyi、本州以南の個体群は固有種L. nipponとされているが、国際的に支持されていません。そこで、本種の標本からDNAを抽出してミトコンドリアDNA配列を決定し、系統関係と分岐年代を推定しました。その結果、ニホンカワウソ+ユーラシアカワウソ内の分岐は非常に短い時間(約35~25万年前)に起きており、ほぼ同種と考えられました。以上の結果から、本種の野生復帰を検討することが可能と考えられます。
<本制度に採択されて研究を実施した感想>
修士課程から思い描いていた研究を1年間行えました。特に、国際的にどの程度の関心を抱かれるのか推し量るために、国際哺乳類会議で発表したことは非常に良い機会となりました。さらに、この発表で本研究の課題を世界の第一線の研究者から指摘していただくことができました。そして私自身は、世界の研究者と知り合いお話しするなかで、今後どのように研究に励んでいくか考える機会となりました。
<大学院を目指している学生へのメッセージ>
卒業論文では踏み込めないところまで研究に取り組んでみたいという熱意があれば、大学院生活はとても楽しいものになると思います。この熱意の発揮の仕方は、受け身になること無く、自分がやりたいと思う研究を、どうすれば世間に通用する研究になるかと常々考え行動していくことだと思います。論文を読み、学会に参加し、常に新しい情報・知らなかった情報を手に入れられるように行動してみてください。きっと困難ですら楽しめると思います。

研究代表者:秋山 友了  専攻・学年:バイオサイエンス専攻 博士後期課程・1年

<研究課題名>
ヒドラジドトランスポーターの探索と機能解析
<研究の概要>
ヒドラジドは官能基にR1C(=O)NR2NR3R4を有する化合物です。多種のヒドラジドが有機合成により生産され、医薬品、農薬、その他様々な場面で利用されています。しかし、これらが生体内にどのように取り込まれ、扱われているのか、その詳細はほとんど分かっていません。そこで、生体においてヒドラジドの取り込みを担っていると考えられる、ヒドラジドトランスポーターの同定と機能解析を目指し、本研究を行いました。
<本制度に採択されて研究を実施した感想>
研究計画に沿いながら予算を消費することで、「自分の実験が進んでいる!」と結果以外のところで感じられ、実験に対するモチベーションの維持につながりました。また、実験計画を立て申請書を作成し研究費を獲得するという、学生では普段あまりできない経験をすることができました。将来、研究者になることを目指している私にとって、この経験は非常に貴重であると思います。今後もこのような制度があれば是非利用していきたいです。
<大学院を目指している学生へのメッセージ>
大学院進学志望理由の一つに、もっと研究をしたいという気持ちがあると思います。東京農業大学大学院は、私立とは思えないくらい非常に充実した実験設備が整っており、そしてそれらを扱える先生方もいらっしゃいます。また、今回私が採択された博士後期課程研究支援制度のような、学生を育てる取り組みも実施されています。このように農大には非常に充実した研究環境があり、研究意欲に応えてくれるところです。ぜひみなさんも一緒に農大で研究しませんか?

研究代表者:熊谷 浩一  専攻・学年:農芸化学専攻 博士後期課程・3年

<研究課題名>
対馬伝統発酵食品「せんだんご」に関する微生物学的研究
<研究の概要>
長崎県対馬市の「せんだんご」はサツマイモを発酵させ水で洗浄後、乾燥させたものです。せんだんごから作られる「ろくべえ麺」はコンニャクのような特有の食感があり、発酵工程中に生息する微生物が重要な役割を果たしていると考えました。発酵中の試料を数年間に亘って調査し多くの微生物を分離し、その中から澱粉や繊維質を部分分解する特徴的な糸状菌を見出しました。その糸状菌を用いて酵素特性の解明やせんだんごの試作において、良好な成果を収めました。
<本制度に採択されて研究を実施した感想>
本制度の採択にあたり、まず申請書作成と学会用の要旨作成の大きな違いを学びました。学会では専門家が集まっているのに対し、本申請書は多くの異なる分野の専門家に対してアピールするという新しい視野が広がったと思います。また、これまでは研究のことのみを考えて実験を行ってきましたが、研究費の運用についても考えて実験するようになりました。そのため、これまで以上に全体の研究計画を考えるようになりました。
<大学院を目指している学生へのメッセージ>
大学院は、好奇心から生じる疑問を解決する方法を身につける第一ステップだと思います。そのために、大学院生活はもくもくと調査・実験をひたすら繰り返す生活になります。大学生活とは大きく生活がかわり、決して楽ではないので、覚悟してきてください。有意義な大学院生活を送れることを祈ります。

研究代表者:鵜家 綾香  専攻・学年:国際農業開発学専攻 博士後期課程・1年

<研究課題名>
Rice yellow mottle virusを特異的に検出するペプチド抗体の作成
<研究の概要>
近年、アフリカでの稲作が推進されていますが、その一方で、Rice yellow mottle virus(RYMV)というウイルスによる被害が大きな問題となっています。植物ウイルス病は治療が不可能なので、早期診断が防除のために重要な役割を占めます。そこで、RYMVの簡便な検出手法の開発を目的として、高感度にRYMVを検出できるペプチ抗体の作成を試み、成功しました。これは植物ウイルスではほとんど例のない、新しい技術です。
<本制度に採択されて研究を実施した感想>
本制度に採択されたことで、初めて自分で研究の予算を立て、予算の管理をしながら研究を行い、研究にかかる費用について改めて認識することができました。また、他分野の人にもわかりやすく研究目的や重要性を理解してもらうかを考えて申請書の作成をする、という経験も積むことができました。さらに、研究者として今後も必要になる研究費獲得の方法について学ぶ機会を在学中に頂くことができて、とても勉強になりました。
<大学院を目指している学生へのメッセージ>
大学院生は、授業のお手伝いや研究室の後輩の実験サポートをしながらも自分の研究をするということで、かなり忙しいですが、研究を通して他の大学や研究所の方と知り合いになれたり、場合によっては海外の研究所で活動することもできたりします。自分の志と努力次第で様々な経験が積めるとても良い環境だと思うので、頑張ってください。

研究代表者:新 穂高  専攻・学年:生物産業学専攻 博士後期課程・1年

<研究課題名>
乳酸菌の脱アセチル化酵素Sirtuin homologueの標的タンパク質の探索および機能解析
<研究の概要>
乳酸菌がプロバイオティクスとしての機能を十分に発揮する為に、製造工程、胃や腸管での生存率を上げる事は重要な課題です。その為、長寿遺伝子とされるサーチュインに着目しました。サーチュインは遺伝子の発現を調節する、いわば指揮者のような働きをします。サーチュインが乳酸菌のストレス応答に関与し、様々なストレスへの耐性を付与しているのか。発現解析、標的タンパク質や細胞内局在の解析、遺伝子操作などの手法を用いて解析しています。
<本制度に採択されて研究を実施した感想>
大学院で研究を行う中で、研究計画の作成から予算の申請といった一連の流れを実践できる場はほとんどなく、本制度に採択されることにより、予算や研究計画を自分自身が考え実践できる貴重な機会を得ることができました。また、研究室で実験に熱中するあまり、不足がちであった外部との情報交換も成果発表会という場を設けて頂いたことにより、活発な議論を交わす事ができ、今後より広い視野を持って研究を行う事が出来そうです。ご支援ありがとうございました。
<大学院を目指している学生へのメッセージ>
研究とはプロフェッショナルな世界です。大学院生もその世界に身を置くわけですからプロフェッショナルを目指し、日々本気にならなくてはならないでしょう。その為、日々の生活は必然的に忙しく、かつ充実します。学外にも人とのつながりが増え、学部とは異なる経験がたくさん出来ます。その為、日々自分自身の成長を感じられます。これからの人生の為に力をつける意味でも、大学院進学を是非目指してみて下さい。

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