東京農業大学

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「生きる」を支える研究者たち vol.3

世界初!疫病菌交配ホルモンを合成。分子で生物をコントロールする。

准教授 矢島 新

生命科学部 分子生命化学科

ジャガイモなどに感染し枯らしてしまう疫病菌。

1840年代に100万人の餓死者を出したアイルランド飢饉を引き起こしたことで有名なこの菌は、現在でも大きな脅威として生産者に恐れられている。疫病菌がやっかいなのは、生育環境が悪化すると有性生殖を行って卵胞子を形成し、地中などにじっと潜み続ける特性があることだ。そのため人類はこれまで疫病菌を防除できなかった。卵胞子の形成にはなんらかの交配ホルモンが関わっていることは1920年代からわかっていたものの、その正体は長らく謎だった。その突破口を開いたのが名古屋大学の研究チーム。2005年に物質を特定すると、翌年には東京農業大学の矢島新 准教授らのチームが詳細な3次元構造を突きとめ、交配ホルモンの化学合成に成功。70年来の謎に終止符を打った。この成果により長らく人々が苦しめられてきた疫病菌の防除にようやく光明が見えてきた。

「私の研究は、微生物を制御する有機化合物を見つけ出し、化学的に合成すること。つまり微生物を物質で自在に操ることです」と矢島准教授は言う。

有機化合物を合成するには、物質の構造を考え、それを作り出す手順を生み出し、実験で確かめることを繰り返していくしか方法はない。「ちょうどパズルを解くようなもの」だと矢島准教授は笑う。「考えた理論通りにいくのは半分ぐらい。あとはできなかった理由を考え、その原因を取り除くために、考えつくかぎりのことを全部やる。そうしてようやく生み出した新しい有機化合物が、微生物の働きをコントロールし、そこで得られた新しい発見が、生命現象を明らかにすることにつながっていく。まさにそれがこの研究の醍醐味です」。

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