東京農業大学

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「生きる」を支える研究者たち vol.2

人類の課題を解決でき、おいしい食べ物もつくる。微生物は無限の可能性を秘めています。

教授 内野 昌孝

生命科学部 分子微生物学科

微生物と人類との関わりはとても深い。

アルコール発酵に関わる酵母も微生物の一種だが、人類がワインを作ったのは約8000年前だという考古学的な証拠が見つかっている。現代では医薬品から食品、工業製品の製造などへも微生物の利用は広がっており、オイルや薬品などによる環境汚染の浄化やレアメタルの回収なども微生物の力で実現できるようになった。それでも、これまで知られている微生物は全体の数%にすぎないと、東京農業大学の内野昌孝教授は言う。「単細胞の微生物は構造がシンプルなので、自然界でも遺伝子の交換が頻繁に起こります。つまり変異・進化のスピードがとても速いのです。こういう変化の激しさを考えると、私たちが知っている微生物はほんのわずかだということも当然かもしれません」。

内野教授は微生物を利用した美肌効果がある機能性糖の生産や、O157などの食中毒菌を抑制する研究などを行っている。

「微生物はこれだけ身近で人類と深い関わりがあるのに知られていないことの方が多いとても興味深い存在です。分子微生物学の面白さは、微生物で人類が抱える問題を解決できる方法を発見する事と、これまで知られていなかった微生物を探すことです。最近ではゲノム編集によって、有用な機能を持った微生物を作り出すことも可能になりました。微生物の働きの仕組みは生命の神秘そのもの。私たちの研究の目的は、微生物の持つ力を最大限に引き出して人類が抱える課題を解決することなのです」。

無限の可能性を秘めた微生物。それを探し、仕組みを解明し、応用し、作り出す。私たちの健康で幸福な暮らしは、分子微生物学の未来にかかっているのかもしれない。

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