東京農業大学

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「生きる」を支える研究者たち vol.1

食育は、社会科学。食料、農業、環境の問題を解決できます。

教授 上岡 美保

国際食料情報学部 国際食農科学科

人は情報も食べています。
食の背景を知ることが、世界を救うことにつながるのです。

『食育』という言葉を聞く機会は多い。

2005年に食育基本法が成立して10年余り。その間和食がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、『食』を通じて学ぶことはますます注目を集めるようになっている。

東京農業大学の上岡教授は「食育は栄養や健康などさまざまなアプローチで語られる分野ですが、農業経済という社会科学の視点で『食』を見ていくと、食料問題や環境問題の解決につながる可能性が見えてきます」と言う。

「現在、日本の農業は厳しい状況におかれている部分もありますが、『6次産業化※ 』など新しい産業構造へと変化する動きも始まっています。それを実感できるような『マルシェ』は都市部を中心に全国各地で開催され、人気を集めるようになってきました。私たちはおいしい作物を育てる工夫や、オーガニックにこだわる農法といった情報を、『おいしさ』の一部として感じているという研究結果もあるように、生産の背景にある情報を知ることによって行動も変わっていきます。例えば食料自給率は、生産側の問題と考えられがちですが、分母は私たちが消費している部分です。消費者が食に何を求め、何を大切にするか。その研究を進め情報を発信していくことが、世の中を大きく変えていくことにつながります」。

食と農の分野は、経済、環境、健康、文化など、さまざまな側面が複雑に絡み合っていると、上岡教授は言う。

社会科学として食と農を捉え、研究し情報を発信していく『食育』によって、現代の私たちが抱えている多くの問題を解決できるはずです

  • 6次産業化: 第1次産業である農業を、生産だけでなく食品加工や流通・販売などを複合的に踏み込んだ経営形態にして発展させること(1次産業×2次産業×3次産業)。

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