地球上での人間活動の範囲は発展途上国の経済発展も加わり止まることを知りません。
2008年7月の洞爺湖(とうやこ)サミットでも大きく取り上げられたように、
大気の温暖化や生物多様性の減少、土地の砂漠化・荒廃による食糧不足が緊急に解決を要する地球の環境問題となっています。
手つかずの原生林は地球上からほとんど消滅、長い人類の歴史の中でともに生活してきた半自然の生きものたちも著しい変貌を余儀なくされています。
半自然(semi-natural)という言葉はイギリスの生態学者A.G.Tansleyの造語です。
彼は実践植物生態学という著書(1923)の2章で「自然に発生してきた植物群落が、
人間や家畜の力によって部分的に決定づけられたり、著しく修正された場合、それを半自然として分類する」と言っています。
「自然に生えてきた木を選択的に切り倒すが、完全に伐採したり、植林することのない森とか、周期的に伐採する雑木林、
周期的に火入れし家畜の放牧に利用するヒース地帯、自然に生えてくる草を放牧や採草に利用する草原」などが半自然という訳です。
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阿蘇の広大な草原 photo:栗田和弥
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このような半自然はイギリスだけでなく、昔は日本でもかなり存在しました。
炭や薪の供給地となった、クヌギ、コナラ、クリなどの雑木林、家畜の餌や屋根葺き用のススキが生えていた茅場、
小面積ながら水田の畦や小川の土手、水田を日陰にしないために刈られた谷津田周辺の刈り上げ場などでした。