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○造園・ランドスケープって?
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○第1回「日本庭園のこころ」(2008.4.1〜4.30掲載)進士五十八
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(「日本の庭園」中公新書(2005)より)
日本庭園は、世界に誇る「日本文化」の代表である。
狭いスペースであっても、その土地その場所の「自然」と「歴史」と「文化」とを、
ひとまとまりの「美しい風景」へと昇華させている。
わが国では古今を通じて、そのための確たる「庭園観」と巧みな「造園技術」が追及されてきた。
しっかりした庭園観には、それぞれの時代の人々の宇宙観、自然観や風景観がなければならない。
―(中略)―
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photo:shin.
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もともと「ガーデン(garden)」は、防衛するという意味のガン(gun)と、
悦び、愉しみという意味のエデン(eden)の合成語である。いわば庭園とは、「安全で快適な場所」であって、
「人間にとっての理想世界」をイメージさせるものである。
平和で安定した、そして美しく豊かな国づくり、まちづくりが希求されるいま、
理想世界のモデルとして「日本庭園」をあらためて見直すことも、意味のないことではない。
ちなみに、政府の構想している「二一世紀日本の国土のグランドデザイン」では、
庭園のように美しい日本列島という意味で《ガーデンアイランド日本》をめざそうとしている。
―(中略)―
日本庭園の読み方がわかると、日本文化の文法や文脈がわかる。
グローバリズムが進むなか、自らのアイデンティティを確認し、世界と日本を相対化しつつ、
「日本的空間づくりの技術」と「日本的景観づくりの思想(こころ)」を説明できるようにした。
世界中、どこの都市の書店に行っても「ジャパニーズ・ガーデン」の本が並んでおり、
日本との友好のシンボルとして、世界中の大都市にたくさんの日本庭園がつくられている時代でもあるからだ。
私は長年、「日本庭園」を研究してきて、まさに「方寸に宇宙」を実感し、その意義、本質、魅力はもとより、
「美しい世界、楽しい世界、珍しい世界を庭園に実現しようとする人間模様」や「庭園から世界を展望する楽しみ」までを学んだ。
その楽しさと面白さをぜひとも多くの方々に深く味わっていただきたいと願っている。
―(後略)―
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