宮古亜熱帯農場

 本農場のある沖縄県宮古島は,北緯24度から25度,東経124度から125度の間に位置し,沖縄本島と台湾のほぼ中間にあります。年平均気温は23℃,平均湿度80%と亜熱帯海洋性気候に属し,島は年間をとおして緑につつまれ,近海は色とりどりのさんご礁に囲まれています。このように豊かな自然に恵まれた宮古島は,観光地としてはもちろんのこと,全日本トライアスロン大会の開催地としてスポーツアイランドの名をはせ,また,近年では,風力発電,太陽光発電の研究施設を誘致するなど,エネトピアアイランドとしても注目されつつあります。
 産業面では宮古島は目下開発の途上にあり,農地の基盤整備をはじめ,世界的にも珍しい地下ダムの建設,各種公共施設の整備などが急ピッチで進められています。とくに農業に関しては,地下ダムの水を利用した灌漑施設の整備とあわせ,環境保全を考慮しつつ従来のサトウキビ・モノカルチャーから作物の多様化への試行がなされており,今まさにダイナミックな変貌を遂げようとしています。
 宮古亜熱帯農場はこのような環境下で,熱帯農学に基づく熱帯・亜熱帯農業の実習教育と試験研究を行うことを目的として設置されました。本農場は,宮古島の地域自治体等との協力により,地域農業の発展や農業生産環境の保全を共に考え,これらの活動を通じ地域と共に歩むことを基本姿勢のひとつとしています。農場面積は約9.5haで,現在,農場施設として管理研究棟,学生宿泊棟(72名収容),研究者宿泊棟,農機具収納舎,職員住宅及び育苗ハウスが設置されています。農地はほぼ整備も終わり,一部は防風林の苗木の他,マンゴー・バナナ・サトウキビなどの熱帯果樹園・工芸作物類の植栽圃場にあてられ,すでに実習・研究圃場として利用されています。また,国際農業開発学科の学生(約180名)が地域関係諸機関および農家の協力のもとで毎年1週間の実習を行う他,教員や院生の研究及び学部学生の卒業論文研究の場として利用されています。
 また,本農場における熱帯農業や熱帯の食糧生産環境に関する幅広い研究教育の実施は,わが国が世界から期待されている発展途上国との国際協力活動においても,とりわけ熱帯地域の農業開発協力に携わる人材育成にも大きく貢献し得るものとなっています。