富士農場

 昭和16年開場の富士農場は,本学の農場・演習林の中でも最も歴史のある農場で平成13年に60周年を迎えました。開場時は専門部農村経済学科の修練農場として発足しました。当時は太平洋戦争開戦直前であり,日本海軍から依頼されたイチハツやグラジオラスなどの試験栽培から始められ多くの作物が持ち込まれましたが,毛無山の影響をうける日照不足と多雨によってどれも生産に結びつけることが出来ませんでした。昭和40年代に入って地の適正から畜産への取り組みが本格的に始まると,昭和50年代初頭にはこれが軌道に乗りました。また平成元年に那須牧場,平成2年に厚木農場養鶏・養豚部門を統合し今日の農場を形成するに至っています。
 本農場は標高830mの朝霧高原に位置し,総面積33haを有し,東には日本の象徴である雄大な富士山を俯瞰し,西には標高1,946mの毛無山を仰ぎ見る絶景の地にあります。この毛無山周辺には,絶滅危惧種でユリ科の植物スルガジョウロウホトトギスやフジミズラモグラをはじめとする小型哺乳動物2目3科12種,天然記念物のハコネサンショウウオなど,植生においても棲息においても貴重な自然が残されています。
 農場周辺は西富士開拓として有名な酪農地帯ですが,畜産基地建設事業による養鶏・養豚団地,静岡県設置の畜産試験場などもあり,畜産関係の実習教育と試験研究には格好の場となっています。さらには東海自然歩道が農場近くを通るなど,アウトドア・レクリエーションや場内設置の環境フィールドなど畜産のみならず造園・造林学の学習においても有意義な教材を提供し,全農大生,教育後援会ご父母,小・中・高校生に親しまれています。