豊かな食生活とは、単においしいものを食べることではありません。個人に合わせた栄養のバランスを考えながら食事を摂ることで、食生活は健全さを保つことができるのです。食材への深い知見をもとに、人々の食事のバランスを科学的にサポートするのが、栄養士の仕事です。
栄養学の視点から人々の健康づくりに貢献
人々の健康志向が高まるなか、近年は食をとりまく環境も大きく変化しています。健全な食生活とは、年齢や健康状態など一人ひとりのケースに合わせて、栄養バランスのとれた食事をとる生活のことです。現代の栄養士は、単に栄養バランスが計算できる専門家であればよいわけではありません。食育の啓発活動などもおこないながら、栄養学の専門知識をより多くの分野に生かしていく発信力も求められているのです。
栄養学科は、人々の健康づくりに貢献するために、食料の生産から加工、流通、消費の大きな流れを理解し、そして栄養の効果を分析し評価をおこなうレベルまで総合的に学ぶことができる学科です。食材に関する幅広い知識を得ることによって、食物が人の体の中でどのように栄養となっていくのかについて深く理解していくことが可能です。
栄養学、食品学、調理学、衛生学からスポーツ栄養学まで
栄養学科は、厚生労働省の基準のもとで東京都から栄養士養成機関としての指定を受けた学科です。カリキュラムは栄養士資格取得のための厚生労働省による指定科目が主体になりますが、「農産物マーケティング論」「食農体験実習」「食の安全と信頼」など、東京農大の栄養学科ならではの特性を生かした独自の科目も充実しています。
1年次から、「調理学実習」や「基礎化学実験」といった実験・実習科目を多く取り入れているのが特徴です。2年次には、「公衆衛生学」「臨床栄養学」「運動生理学」など、栄養士の資格取得のための必修科目のほか、キャンパス外の施設で給食管理の実習をおこないます。
2年間の学びを通じて、調理をしっかりとおこなうことができ、また化学的な分析もおこなえる栄養士の育成をめざしているため、学生は化学の知識が必須となります。仮に高校時代に化学を履修していない学生に対しても、入学後に化学の教科指導を徹底しておこなっており、学習フォローの体制は充実しています。
学外から栄養のプロを招いて講義・実習も
研究室への所属は必修です。1年次終盤から研究室活動を開始し、2年次の最後に必修の卒業論文を作成します。卒業研究への取り組みによって、問題を解決する能力や自己表現力を高めると同時に、教員や仲間たちとの密接なふれあいやグループワークを通じて、社会生活に必要な礼儀や協調性も磨きます。また学外で栄養士として活躍しているプロの方々を招いた講義や実習などを通して、実社会の仕事をイメージする機会を多く設けており、職業への理解を深めていきます。
栄養学科で栄養士関係科目の単位をすべて取得すると、卒業と同時に栄養士の資格が取得できます。また卒業後に3年間の実務経験を積むことで管理栄養士の受験資格が得られます。
卒業後に4年制大学に編入を希望する学生も多く、東京農大の栄養科学科をはじめ、約半数の学生が編入学をしています。
|