合宿中、採集初心者の私は終始、網(とその柄)に振り回されていた。

 5月14日(土)10:30ごろ、一般の方には用途不明の棒…捕虫網のロッド(木製)を手に、
小さなお子さん達に「
ママ、孫悟空みたいな人いるー!」と指を差され、電車中の人が大注目という苦行を乗り越え甲斐
大和駅に到着。メンタルの弱い私の心は既に傷心気味に。しかし、ここまで来てしまえば如意棒を携えていても不自然で
はないので気を取り直してバスに乗り、そのまま先輩たちと採集に出かけた。


 すずらん荘周辺の景色はとても綺麗で採集への期待感も高まる。しかし、そんな私の気分にまたも網が水を差す。
採集開始前にまず網を取り出し、棒に取り付けようとする。取り付け…取り付け、…取り付けられない。何度試しても付けら
れない。一緒だった先輩に「
すいません。これどうやって付けるんですか?」と助けを求めると、

   「
このロッド、この網には合わないね」とのこと。

 借りた時に試さなかったものだから、初っ端から大ゴケをかましてしまう。しかし、そこで心優しい先輩は私の網と自分の
網を交換してくれた。…のは有り難いのだが、残念なことに網を使う機会も技量も私にはなかった。
(すいません…)そもそも網を使うような獲物を見つけることができないのである。
左を見ていると右方向で羽音が、そこで右に視線を向けた瞬間には遥か彼方で羽音がするのである。

…我ながらファンタスティックな鈍臭さである。(その間に一緒にいたN村さんは見事に蝶を捕まえていた。)

 仕方がないので、車道沿いを登りながら、地面に這いつくばり虫を探すが、
朽ち木をひっくり返しても出てくるのはクモやムカデなど、足が6本以上ある奴らばかり。
 その上、地面を見ている時に限って大きな羽音をさせて虫(ハチかアブ?)が飛んでゆくのでイラッとする。

 …本当にイラッとさせられる。しかも、羽音に反応して網を振り回しても、虫が入ってくれることはない。
吸虫管でも虫を吸う際に土埃もしこたま吸い込んでしまい、なかなか上手く採集することが出来ない。
(しかもこの後、せっかく吸った虫も歩いているうちに蓋が開いてしまい逃げられる)

 その後、コンクリの斜面に付いた苔をひっぺがしていると、ようやくゴミムシ(たぶん3種類)、ハネカクシなどを各数匹ずつ捕獲することが出来た。宿まで引き返す間にも小型のコメツキムシ、ハサミムシ、私の顔に激突してきたナガチャコガネを捕獲。採れ始めるとイライラも消し飛び、ホクホクした気分になってくる。帰りついてからもしばらく宿の庭先で(微妙に虫の匂いのする手で)おにぎりを食べながら物色を続け、バッタやカメムシを捕獲。

 昼食後、宿の近くでプラプラしていたら、とうとう網を使う機会がやって来た。桜にハチがいたのである。
しかも飛んでないので難易度はかなり低め。盛大に桜の花を散らしながらなんとか捕獲し、毒瓶に放り込む。
それ以降も藪で網を振り回しているとハエが数匹入っていた。家の中なら見つけ次第叩き潰すのだが、
せっかく網に入ったのだからと、有り難く宿に持ち帰ったところで、今回の採集を終えた。

~新歓の食事会・飲み会の楽しげな様子は割愛させていただきます~

 翌日、調子こいて深夜2時ごろまで宴会場にいたせいで、朝日を浴びるとクラクラする。
追加での採集を行わずに速攻で帰宅。その罰なのか、先の尖った棒を持った不審者は駅前でお巡りさんに軽く職質をかまされてしまった。
最終的に私の初採集の成果は計20匹ほど(標本作製中の現在も無事なのは14匹)だった。(しょぼい…)


 新歓合宿での採集を終えて

 まず、網を貸して下さった先輩に感謝と謝罪を申し上げます。

 そして今回の合宿、また帰ってからの標本作りを通して、もっと採集を上手くなって量を採る必要があると感じました。
標本もまだ途中ですが、無事に原型を留めている虫たちは、現在ゴミムシを中心に涙目で同定中です。
大した内容でもないのに長々書いてしまいましたが、ここらへんで〆と致します。

 最後までお付き合いいただき有り難うございました。



                                                   学部3年 守屋 郁美





“初”昆虫採集in新歓合宿