私は上森先輩の謎の唸り声により目を覚ました。
前日の収穫祭の打ち上げで帰りが遅くなり、私たちは二人で一夜を過ごしたのである。
二人は急いで身支度をし、集合場所へ向かった。

 今回は坂田さん、沢田先輩、上森先輩、藤澤、山本(筆者)の5人での採集になる。
全員が集合し、レンタカーの手続きが終わり、目的地の千葉県某所を目指す。

 今回の目標はアカオサ、アワカズサオサ、ツヤキベリ、オオサカアオ等の発掘である。
特にアカオサ、アワカズサは房総半島の特産と言うことなので、是非とも採集したいと思っていた
オサムシである。

 3時間程かけ、一か所目の崖に到着した。
この崖は去年の冬、オオサカアオが6頭も得られたという驚異のポイントである。

  

 期待を胸に、一心不乱に崖を破壊する。しかし、いくら崩してもオオサカアオはもとい、
他のゴミムシすら姿を現さない。出てくるのはムカデさんのみである。

結局、ゴミムシは得られず、この場を後にした。

 気を取り直し、次なる崖に向かった。移動中、良さそうな崖を発見し、停車。一斉に作業に取り掛かる。

すると、岩の下から
ヨツボシゴミムシが姿を現した。途中、土中から覗いたスズメバチの巣に怯えながらも
コキベリアオ、ヒメキベリアオ、ムナビロアオ、コガシラアオなどを追加した。
 
     コキベリアオゴミムシ
           ヒメキベリアオゴミムシ
 
      ムナビロアオゴミムシ           コガシラアオゴミムシ
 
       ヨツボシゴミムシ         ムナビロアトボシアオゴミムシ

 さっさと昼飯を食べ終え、前日に沢田先輩が調べておいて下さった沼へ向かう。

 そして葦が生い茂るいかにもゴミムシが好みそうな沼へ到着した。
泥に足を取られながらも崖は破壊されて行く。

 そして、
「おおおぉぉ!!」という藤沢の叫びが沼に響く。
先を越されたと思いながら見に行くとキイロサシガメを手に、喜んでいた。
ゴミムシ運の皆無な藤澤は虫が捕れて喜んでいたのであろう。

 しかし、私自身、この場では何も捕れておらず、焦り始めていた。

気付くと私だけが沼の反対方向に来ていた。

 そして、合流しようとショートカットを試み、ぬかるみに足を入れた途端、
股間の辺りまで沈んでしまった。
 私は驚き、もがいたが動けば動くほど体が沈んで行く。藤沢に助けを求めるものの私の醜態を見て、
ミイデラ採りがミイデラに…」などというナイスなセリフを吐きながら先輩方と笑っている。
恐怖怒りで狂いながらも何とか長靴を犠牲に陸に上がることが出来た。
泥団子と化した私は意気消沈し、暫くの間草むらに座っていた。

やる気を完全に失った私は沼を離れ、辿り着いた崖を崩すことにした。

すると、一匹のゴミムシが現れた。



……

………オオサカアオではないか!!
   
          
念願のオオサカアオゴミムシ!

 元気を取り戻し、アカオサ、エサキオサ、ルイスオオゴミ、スナハラ等を追加することが出来た。

 
        アカオサムシ            ルイスオオゴミムシ

 結局、全員でオオサカアオ4頭という好成績を残し帰路に付いた。
自宅にて気付いたのだが採った覚えの無いヨツモンカタキバゴミムシがバケツの中に入っていた。
沢田先輩が先に得ており欲しかったゴミムシであったので思わぬ副収入であった。
                
              ヨツモンカタキバゴミムシ

 今回の採集では、目標であったツヤキリには出会えなかったものの、
オオサカアオやアカオサなどの美しい虫に出会うことが出来、貴重な体験が出来たと思う。

魅力的なゴミムシの多い千葉県にはまた訪れてみたいと思う。


                                  1年 山本 哲也

採集記トップ
昆研トップ

千葉県オサ掘り日記