この採集記は虫屋的視点の偏った内容でお送りします。(ゾウムシ的に)
              また、採集活動期間が長かったため主にハイライト部分だけの執筆になります。
                       

8月16日

羽田空港に、今回の調査メンバーが集った。
小島先生を筆頭に、4年生の大橋先輩(オトシブミ)、3年生の小林先輩、商先輩、
そして筆者の1年藤澤(ゾウムシ、雑虫屋)である。

私は早く虫が採りたく非常にソワソワして落ち着かない・・・。
あらかじめ下調べはしてあるがこの島は、小島先生曰く、元来あるべき環境は破壊されているため虫が少ない、らしい。
どんな旅になるだろうか・・・・・・。
4時間ほどかけ宮古島空港に到着。
今回、お世話になる小林先輩のお母様、お婆様にあいさつをし、小林先輩の実家に行く。
熱烈な歓迎ともいえるような、ボリュームたっぷりの宮古ソバ、ジマーミー豆腐が出され、舌鼓を打つも厚木で粗食に慣れてしまった体には少々きつい。
ただ、旨いのだよ。
頑張って平らげさっそく採集に出かける。
自然が残ってそうな林を採集ポイントに選び、トラップをかけるポイント選定しながら採集を開始する。
ビーティングをするとサビカミキリなどはよく落ちてくる。
ゾウムシでは、カレキゾウムシ、リュウキュウクワゾウムシが得られた。
左からミヤコアヤモンチビカミキリ、ヤエヤマカノコサビカミキリ、オキナワヒラタクワガタ(移入種)

8月17日
今日はトラップの設置をする。
マレーズトラップ、フライトインターセプショントラップ(FIT)、サンケイトラップを仕掛ける。
一週間と少しの間にどのくらいの虫が入るのか楽しみだ。
其の後、海岸線沿い残された植物群落を散策。
海浜植物のオオハマボウからデオゾウムシが採集できた。小林先輩はアオムネスジタマムシを採集されていた。
しかし、海浜性であるヒョウタンゾウムシはオウギハマヒルガオに食痕が認められるものの採集することは出来なかった。
海岸沿いでの採集は面白い。

8月18日
朝早くに起床し、今日は宮古島の北のあたりに位置する大神島に向かう。
なんと、昆虫の研究者が全く入っていないようで、採れる虫のほとんどが新記録のようだ。
これは期待に胸が膨らむ。

神の島…大神島に到着。祟りの話を事前に聞いてしまったので少し緊張しながら上陸した。
さっそく島の一番高いところにある遠見台をめざし登ってゆく。
途中空き地に朽ち果てたバナナがあったので、崩してみると予想通りオサゾウムシが出てきた。
カンショウオサゾウムシ、というそうだ。

根塊は、恐ろしいほど食害されている・・・
幼虫、蛹、テネラルと、いろいろなステージの本種が採集できた。
左から幼虫、蛹、テネラルの個体。
 
    すべてを奪いつくした後のバナナの根っこ・・・
腐敗している部位もあったので非常に臭かった。(もちろん後片づけもしておきました。)


遠見台にて

ここのガジュマルからはウスミドリシギゾウ、ヒシガタシギゾウが得ることができた。時期が合えばもっと多いに違いない。
もちろん新記録である。
アオムネスジタマムシもなぜかいつの間にかネットイン。
下る途中で道中島民のおばさんに出会う。
事情を説明すると畑の枯れたバナナを崩させて下さるそう。
全員で崩しにかかる。
バナナ私たちの手によりバラバラになった。
アオムネスジタマムシと採集風景

疲れただろうと、おば様がてんぷらを振る舞ってくれた。島民の方の優しい心に胸を打たれた・・・。
大変美味である。ご馳走様でした。
一休みさせてもらい、また採集を再開。今度は海岸線を回る。

海に写真のような奇岩がごろごろあり、不思議な気分になる。江戸時代の津波で運ばれてきたとかないとか。
この後、余り成果はなかったが、1.5㎜ほどのノミゾウムシを追加した。
日も傾いてきたので今回の大神島採集は終わり。
大神島、ありがとう!!

続く...


                                                                                               1年 藤澤 侑典




宮古島採集記