※この日記は虫屋的な視点から書かれています。


 2011年2月25日、ベトナムから帰還した私を待っていたのは、3日後に迫るマレーシア卒業旅行の打ち合わせとその準備であった。
ハードスケジュールであるが、このメンバーでの採集はもう最後になるかもしれないので強行に至った訳だ。
 行く場所も虫屋の間では名高いキャメロンハイランドという事で、行く前から心が躍る。
 メンバーは卒業生8名と伴さん、そして
元卒業生の私である。行きたい場所や捕りたい虫がそれぞれ違うため、現地では3グループくらいに分かれる
必要がある。私は雲霧林にいるという後翅が退化したカミキリが気になるので、グラン・ブリンチャンという山を第一候補にした。
 他のメンバーも地図を見ながら虫トークで盛り上がっている。どんな旅になるのか想像もつかないが、楽しい旅になることは間違いなさそうだ。(虫を巡
る醜い争いは覚悟。)


  3/1
 3月1日、羽田空港に今回のメンバーが集結した。
航空券の手配から、その他の段取りを行ってくれたチョウ屋の小林、元昆研幹事でハチ(クワガタ)屋の郡司、コウチュウ屋の河合、
カメムシ(コウチュウ)屋の坂田、コガネ屋の常盤、クワガタ屋の山口、オサゴミ屋の山田、コメツキ屋の横須賀、そしてカミキリ屋の沢田(筆者)

 
以上9名が今回の参加者である。・・・あ、1人忘れていました!M2の伴さんも同行する予定です(笑)

 ちなみに伴さんが居ないのは、省かれた訳ではなく、予約した航空会社が異なっていた為であることを断っておく。(現地で合流予定)
 今回利用するのはAirAsiaで、マレーシアの格安航空会社である。機内食等を各自で購入しないと出てこないが、マレーシアに行ければ何の問題
も無い。聊か機内が
クール便であったが、これはタオルケットを買わせるための策略なのだろうか・・・。上着を機内持ち込みしていて正解だった。


      AirAsiaの飛行機のエンジン               深い眠りにつく常盤                   美人なスッチー

 肌寒い機内をこれから8時間耐えるのか・・・と思いつつ眠りにつく。この時点で12時を回っていたが、明日目が覚める頃にはマレーシアに到着してい
る事だろう。ちなみに私の隣座席は坂田(外道)であった。・・・どうでもいいが。

  3/2
 空港に着くやいなや、バスの停留所まで急ぐ。キャメロン・ハイランド行きのバス停までタクシーを使って移動する。伴さんとはその停留所で落ち合う
予定であったが、バスの発車時刻が迫っているため
やむなく伴さんを待たずバスに乗り込む・・・そしてバス発車。
 運良く横須賀の携帯が使えたため、伴さんと連絡することが出来た。どうやら伴さんはタクシーでキャメロンハイランドまで向かうことになったらしい。

        いざ、キャメロンへ                    バスの車内               車窓から。ヤシのプランテーションが多い

 バスの中は快適だったが、私の隣に座っていたマレーシア人の携帯が時折大音量で着信音を鳴らすため、寝てもすぐに起こされる状態が続いた。
かなりイライラしたが、幸いにも途中で下車してくれた。後でメンバーに言うと皆気になっていたらしい。この国にはマナーモードとかは無いのだろうか。
 バスに揺られて5時間弱。ようやくパハン州、タナ・ラータの停留所に到着。ここが所謂キャメロン・ハイランドである。

 高原リゾートだけに気温はさほど高くなく、過ごしやすい気候に感じた。そこへ、宿に連れて行ってくれるという心優しいオッサンが現れ、我々を愛車の
元へ案内する。しかし、その愛車は
6人乗り。我々の人数は9人。しかも大荷物という条件付・・・い、行けるのか?・・・と初めは思ったが、空間という空間
に体を敷き詰め、スーパーでよくある野菜の詰め放題のような状態に。最後に野菜で例えると、サヤインゲンのような立ち位置の山口を隙間に押し込
み、何とか出発するのであった。

       
              この黒い車に9人乗って行った。                    タナ・ラータの風景

 トイレ休憩以外ノンストップでここまで来たため、我々は非常に腹が減っていた。宿に荷物を運んでいると、タクシーが1台到着する。
タクシーで長旅をしてきた伴さんであった。伴さんと合流できたこともあり、早速町に行くことになった。

 タナ・ラータの町は観光地という事もあって飲食店は多い。何を食べるか非常に迷うところだ。今日のところは猛烈な客引きをしてきたカレー屋で
済ませることに。 店頭に上手そうな鳥が吊るしてあり、全員がこの鳥とカレーを頼んだ。もちろん昼からビール。採集の鉄則だ。
ビールを飲んだため食欲が一気に増幅される。しかし一向にメインディッシュが来ない。しかし
・・・ぜんっぜん来ない!!
 結局料理がきたのは頼んでから40分近く経っていた・・・(確かに待っただけのことはある味であったが。

特に美味かったのはやはり鳥のモモだったが、坂田のだけパサパサだったそうな。


      外国人観光客も多い                  カレーがやっと到着                   豪快な鳥の料理

 食後は宿の裏手の道路を少し進んだところの山へ。この時は2組に分かれて採集をした。
坂田の長竿が1振り目で折れたこと以外は順調に採集できた。

 ギンネムの花に大きなクマバチが飛来していたり、ランの花にマメコガネの1種がたくさん潜り込んでいた。
スウィーピングするとナガカメやカスミカメが入り、 この感覚は日本と大して変わらないな・・・と毒ビンにそいつらを放り込む。
 山というよりは“丘”と言ったところか。尾根沿いは多少吹上げており、時折マダラチョウなどが飛ばされてくる。
小林はそれを追ってしばらく網を振っていた。

      すぐ近くは住宅街である。                  丘の頂点付近                    マメコガネの1種

 しばらく進んでいくと、遠目から分かるくらいの巨木が横たわっているのを発見する。他の奴らに感づかれないように近づくが、一瞬で木の周りを囲まれ、誰が始めろと言われなくとも、解体作業が開始される・・・てめぇら!!とりあえず樹皮を剥ぐとオオゴキブリの仲間がコロニーを形成していた。 ゴキブリがいる柔らかい材を崩すと、固めの材質に切り替わり、クロツヤムシゾーンとなっていた。
叫び声と共に誰かが○○捕った!!と言うと、嫉妬深い目でそいつを睨む、という流れが繰り返されるが、河合あたりが生意気にもエグリハナムグリを割り出したのを境に無言で木を崩すようになった。
 結局私はハナムグリを掘り出せなかったが、山田が一匹分けてくれたので一安心。ここでは他にもオオクワガタの一種やウスバカミキリが得られた。


       解体現場。もっと太い木だったのだが芯だけに。                    エグリハナムグリを手にする。

 倒木は他にもあったのだが、クロツヤムシとゴキブリは出るものの、ハナムグリやクワガタは最初の木でしか得られなかった。
この時点で既に6時半をまわっていたため、宿へ戻る。すでに伴さんと郡司が帰って来ていた。採集の成果は乏しかったらしく、浮かない表情を浮かべていた。

 一通りソーティングやシャワーを済ませた後、町へ食事に。店探しは億劫なので、昼間と同じ店へ。
蒸し鶏のような料理と、その茹で汁で作られたスープがべらぼうに美味い。マレーシアはタイガービールが主流な様であった。
       
               ビールでかんぱーい!!                  これが例のスープ。鳥の旨みがいっぱいだ。

 食後、満腹になったお腹を摩りながら、ライト巡りをするが、この日は気温が低く虫は少なかった。コフキコガネや中型のセミが居たくらいであった。
早めに引き上げるのが吉と判断し、宿に帰還する。途中でビール購入し、この夜はほろ酔いで眠りについた。

       
             コンディションさえ良ければ・・・              日本で言うところのケブカコフキコガネに近い種だろうか。


                     戦いははまだまだ始まったばかり!!

                          つづく



卒業(採集)旅行inマレーシア

Part1