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離島は歩くモノ!?

博士前期課程一年 相馬 純

緒言

2018年秋、かねてより計画していた南国一人旅の幕は切って落とされた。

目的地は宮古島・石垣島・西表島、日程は17日間である。

ターゲットは、僕が研究対象にしているグンバイムシである。

結果から言うと、4学名未定種に加え、某図鑑に標本写真すらない国内採集例が1例の種が手に入った。

後者の方は、寄主植物含め報告の目途が立ったため、嬉しい限りである。

閑話休題、旅の内容について書いていく。

材料と方法

金銭的に苦しかったため、食事は朝晩にカップラーメンを一杯ずつ摂った(一部例外を除く)。

お腹が空いて我慢できない時は、歩きながらキャンディを舐めて気持ちを我慢した。

各島は、公共交通機関(バス)以外を用いた移動以外は、すべて徒歩で巡った。

調査地点はすべて道路沿いで、主に市街地近くの雑草地や木立で採集した。

結果

宮古島(一日目~六日目)

成田空港から那覇空港を経由し、宮古空港に到着したのは夕方になってからである。

途中、那覇空港でソーキそばを食べた時に、麺の硬さが個人的な好みと絶望的に合わないことを思い知らされる。

宮古島市役所、非常にかっこいい見た目である。

 

”あの”宮古島まもる君だが、妹がいるらしい。

正直言って羨ましいところである。

一人で看板に顔をハメるのは、人生について深く考え込むリスクがあるのでやめた。

1学名未定種が採れた場所の近くで撮った写真。

画像中央のピカピカしている物体はミヤコキンカメムシ、当地では割とどこにでもいる。

海は澄んで、時が止まったように見続けた。

こんな感じの展望台もなかなか趣深かった。

真っ直ぐに続く道と標識、青い空の組み合わせがシンプルに良い。

ヤスマツグンバイの採れたハマクサギ。

この種とは今回の遠征を通じて何度も出会うこととなる。

比較的どこにでもいるようだ。

道路でつながっている伊良部島にも足を運んだ。

写真は展望台、風当たりが強かった。

地元の方から教えていただいた人の来ないビーチ、とても居心地が良かった。

南西の海浜といえばコレ、砂上を敏捷に走り回るシロヘリツノヘリカメムシ。

かつてクロジュウジホシカメムシと呼ばれていた種。

彼らの正体が明かされるのはいつの日になるのだろうか。

ウスオビグンバイが採れたハスノハギリ、果実は決して食べないように。

上質なサンセット。

プロペラ機にて宮古島を去り、石垣島へと向かう。

石垣島(六日目~十三日目)

飛行時間わずか数十分、快晴の石垣島に降り立つ。

狙いの種が最も多く、正念場となる。

市街地近くの牧場、目が合った順に牛が逃げていった。

車通りの多い道路沿いの雑草地で、2学名未定種を得る。

目の付け所って、こういうところなんだよな。

南国っぽい林道も少しだけ歩く。

目的の1学名未定種を得て、早々に離脱。

南国っぽい花だが,得られたカメムシは貧弱。

宮古島で見たものに負けず劣らず綺麗だった夕焼け。

ツツジグンバイの見られたリュウキュウヤマツツジ。

岩だらけの無機質な磯辺も歩けば面白い。

石垣島最北端の地にて。

観光客が多く、場違い感を醸し出していた。

ヒゲナガグンバイを採集したシマモクセイ。

本州に分布する個体群とは若干の形態差があるようだ。

一日二食生活に耐えかね、衝動食いをする。

及第点といった成果を手に、西表島へ向かうフェリーへ乗り込む。

西表島(十三日目~十七日目)

高速船に乗り込みながら感じたことはただ一つ「酔う人めっちゃいそう」ということだ。

快晴の中、マングローブ林を望む。

国道の起点は、本土ではなかなかお目にかかれない。

土砂降りの日でも動いた。

そんな時に、国内採集例が1例の種との出会いはあった。

寄主植物は風変わりな性質のものだった。

国外産のもの含め、現存標本が数頭しかないわけだ。

東経123°45'67.89"を表す記念モニュメントは2箇所にある。

石垣島でも得た1学名未定種は西表島でも採集した。

この地域ならどこにでもいる種のようだ。

高速船で再び石垣島へ戻る。

中心街で軽い食事を摂り、家路へつく。

考察

離島であるかどうかにかかわらず、遠征へ行くと環境の良い有名な場所で採集する人は多い。

解明度の低い分類群では、そのやり方で新しい発見がまだまだできるだろう。

しかし、僕の研究対象であるグンバイムシは解明度は高い。

有名な場所で採れる種は、偉大なる先人達が既に集めているものである。

一方で、畑脇の雑草地のような”残念な場所”は、意外にも新しい発見が多い。

なんでも、虱潰しに調べてみるものである。

車で移動、これも良くない。

歩道脇の雑草から学名未定種を採集した時、僕はそう感じた。

今回の遠征で得た”すごい”グンバイムシはすべて、道路沿いで採集している。

カメムシの多くが日当たりの良い場所を好むとはいえ、なかなかに面白いことである。

今回の遠征を含め、2018年は”残念な場所”から”すごい”グンバイムシを数多く発見する一年となった。

引用文献

採集技術は圧倒的経験則につき、割愛。

既知種の寄主植物と、目ぼしい植物のことは覚えた。

エセ論文形式にした理由は、気まぐれである。

最後に3種だけ、今回の遠征で出会ったグンバイムシの写真を貼る。

画像を挙げられない種が多いので、情報量の少なさはご勘弁を。

ヤスマツグンバイ Eteoneus yasumatsui Takeya, 1962

ヒゲナガグンバイ Perissonemia occasa Drake, 1942

ウスオビグンバイ Stephanitis (Stephanitis) subfasciata Horváth, 1912