神津島採集記二日目、三日目





神津島二日目。 真夜中から明け方にかけては雨が若干降ったものの、天気は晴。

この日は、当初の予定どおり、天上山へ……向かう前に少し寄り道をすることに。 シイタケのホダ木があったはずのところを探して車で出発をした。
しかし、なかなか見つからずその途中で先生曰く、貴重なゾウムシ(ゾウムシのことはよく分からないので、どの位貴重かは不明)を発見したため、みんなで採集。

その後、島民の方に場所を聞いたりしながら何とかホダ木の場所へと到着することができた。 ホダ木に付くというお目当ての昆虫は居なかったものの、枯れ枝をビーティングなどして微小昆虫たちを観察し、ようやく天上山へと向かうこととなった。

天上山は、神津島とは別に、特別保護地区に指定されているため、昆虫採集は厳禁。許可を取っているゾウムシとカメムシもここではお預けだ。

                 
▲風を遮るものがないため、強風が吹いており、寒がりながら道を進む            ▲天上山山頂にて。ゾウムシを観察した後、昼食を摂ることに。山頂は風がなく、快適だった。


▲この辺りで、コニワハンミョウが飛んでいるのを見かけた


オオトモエやオカベセボシジョウカイ、コニワハンミョウを観察しつつ、天上山の頂上へ向かう。頂上に着いたあとは、不動池や新東京百景展望地などをめざし、ぐるりと山を歩いた。不動池の所では数種類のゲンゴロウやガムシが泳いでいるのを発見し池を覗き込み観察をした。

下山したあとは、温泉へと向かったが……温泉に到着して、その光景に呆然。
なんと露天風呂の施設が干上がっていたのだ。
一滴、くらいはあったかもしれないが、お湯などほとんど見当たらない。聞いてみると、ポンプの調子が悪く、ここしばらく露天風呂は使用できていないらしい。

仕方がないので、露天風呂は諦めて、中の温泉施設だけで済ませることにした。
ちなみに余談ではあるが、風呂から上がり、休憩所で全員が集まるのを待っているとき、小島先生がトカラのカレンダーが貼ってあるのを発見した。場所もかけ離れているのに、ここにトカラのカレンダーがあるとは、何とも不思議である。

帰りがけに沢尻海岸を通った際、車の中で小島先生が阿久津に「ハネカクシ、いそうやな。ちょっと見てみるか」と声をかけた。
とそのまま、少し時間を取って、海岸でハネカクシを探すことに。


▲夕日の綺麗な海岸に野郎二人。情緒もへったくれもない光景だ

阿久津は、お目当ての昆虫を観察できたらしく、いささか満足した面持ちで車に戻った。

夕食は例によって、島に一つだけのスーパー、マルハンにて購入。キャンプ場に戻って買ってきたお酒や刺身、肉やらをみんなで雑談をしながら食べた。
この日の夜は、阿久津と二人で夜間に地上を徘徊している昆虫を探すことに。海岸まで歩いて行き、海浜性のゾウムシなどを見て終わった。


最終日も天気に恵まれた。この日は、急遽、前夜にウバタマムシを探そう、ということになり、秩父山に行く予定だったのを、灯台へと変更した。空港に寄ったりしつつ、灯台へと向かう。


▲何故かあった七福神のポーズを皆で取って記念撮影。あと2人いれば……

灯台の所には、松がたくさん生えており、ビシバシ枝を叩くも、なかなか落ちてこない。
小島先生も、叩いていると茶色に鈍く光る甲虫が。落ちてきたのはウバタマ————コメツキだった。確かに前四文字は一致するが、見たい奴ではなかった。

その後、しばらく時間を潰し、降りるとき、城所がなんと、オスのミクラミヤマクワガタを発見した!
急遽撮影会が開かれる。神津島のミクラミヤマクワガタは数が少ないと聞いていただけに、見ることができて満足だった。この後、彼は草陰へと帰っていった。


▲ミクラミヤマクワガタ。アイドルさながらの撮影会だ

ジュリアの十字架を見たあと、赤崎遊歩道に向かう。木製の足場を渡りながら潮風を受ける。水の中には入れなかったが、岩場に降りることは出来たので、阿久津と二人で降りる。
阿久津がカニなどを観察している傍ら、岩肌をじっと見ていると、なにやら甲虫らしき影が。こんな所にもいるのだな、と思いながら、それらを観察した。
後ほど小島先生に報告すると、どうやらイソジョウカイモドキ、という昆虫だったらしい。

                 
▲こんな辺鄙なところにイソジョウカイモドキがいた                         ▲小島先生恒例の、島の人との写真

船の時間が迫っていたため、急いで街まで戻り、荷物を送る。そのまま市役所に向かい、調査の結果を報告。残念なことに、林本先輩の研究対象だったケブカヒメカタゾウムシは、発見することは出来なかった。

オチというか何というか。神津島に別れを告げ、竹芝桟橋に戻ってきた私たちを出迎えたのは、伊豆諸島と小笠原諸島の「島じまん2014」。最後まで島の空気に包まれた調査であった。


▲小島先生の知り合いだらけだ





                                                                         学部三年 峯田