本田 尚正 教授
研究テーマ
自然災害に対する地域防災機能の評価と強化
3つの柱を軸に、横断的に持続可能な地域づくりを学ぶ
工学技術を用いて生活環境や社会環境を整備し、循環型社会をめざす研究をおこなっています。
当研究室には、異なる研究領域をもつ3名の教員が在籍。施設を長く健全に使っていく方法などを考える「農業構造学」、環境保全と農作物の生産性向上をかなえる農業生産技術の開発に取り組む「農地整備学」、地域社会の安全を守る「防災工学」などの領域を横断的に学ぶことができます。
自然環境の保全と地域防災を考える
科学技術やまちづくりの知識を生かしながら、人間と自然が共生していく方法を考える。それが、よりよい地域づくりにつながります。
土地利用の際に発生する自然環境への負荷を軽減することは、循環型社会に必要な取り組みのひとつです。そのためにまず求められるのは、現地の環境をリサーチすること。この研究室では、フィールドワークを通じて資料や講義からは得られない情報を収集するなど、実際的な学びを重視しています。
例えば、土砂災害対策のためのフィールドワークでは、学生とともに山に足を運び、水、土壌、地形の凹凸、土壌の硬度や地中にある水脈の流れなど、土砂崩れが起こりやすい環境条件を調べて災害発生の予知・予測に役立てます。
また、木材や食品加工廃棄物、家畜の排泄物といった生物由来の資源「バイオマス」の地域での利活用も、研究室で扱うテーマのひとつです。バイオマスの利活用は廃棄物量を削減できるだけでなく、地球温暖化の抑制にも貢献できる技術として注目されています。
自然と地域、人々の思いをつなぐ
2008年の岩手・宮城内陸地震や、2011年の東日本大震災の後、私は学術調査団の一員として被災地を訪れました。そこで目にしたのは、人々の地域への深い想いです。土地がはらんでいる災害への脆弱性を身をもって体験しても、多くの住民は「それでもここに住み続けたい」と考えていました。例えどんな過酷な災害に遭遇しても、かけがえのない故郷にとどまりたいのだ、ということを強く実感したのです。
一番大切な場所に大切な人とともに暮らし続け、例え災害が発生しても悲しい思いをしないようにするのが防災の役目です。そして私たちの研究は、自然環境と地域、そして人々の思いをつなげることができる重要な取り組みだと考えています。