東京農業大学

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持続可能な循環型社会の再構築を担う人材を育成

地域創成フィールド実習(一)②

2018年2月2日

2017年9月21日(木)~】

前回に引き続き、学科の必修科目『地域創成フィールド実習(一)』のご紹介を致します。

講義情報

開講学年・学期・時限等:1年生 後期 木曜3~4限(13:00(12:30)~16:10)

担当教員:竹内 康 宮林 茂幸 内田 均 竹内 将俊 入江 彰昭 武生 雅明 下嶋 聖 浅井 俊光 町田 怜子 亀山 慶晃 藤川 智紀 鈴木 伸一 本田 尚正

講義内容

 今回は「地域創成フィールド実習(一)」の中から「土壌」の演習内容をご紹介します。「土壌」の回では、まず始めに「水田・畑(農村部)、屋上菜園(都市部)」と様々な「農業の形態」そして「地域創成の現場」を見学し、その後、実験室にて精密な実験を行うという方法で演習を進めました。

 初回は東京都江東区のダイバーシティ東京の「屋上菜園」を見学します。ここでは、「人工軽量培土」という特殊な土壌を利用して野菜を栽培しています。通常の農地と全く異なる物理・化学性を持つ土壌の性質や使用するメリット等について学んだ後、実際に屋上菜園を管理している方から、都市部で野菜作りをする意義、商業施設の屋上と地域の特産品、地方創成との関わり等についてご解説頂きました。

 レクチャー後は、土壌pH(H2O・KCl抽出)、土壌EC、NO3--N(H2O・KCl抽出),NH4+-N(H2O・KCl抽出)の測定を行います。抽出液の違いによる測定値の変化、日照や風、潅水の影響を強く受ける「屋上」という特殊な環境ならではの農業について学ぶことができました。

 続く2回目の演習では、千葉県君津市小糸地区の農地の見学に行きました。ここでは、将来の少子高齢化や農業の担い手不足を予測して、水田での稲作からより省管理な畑作物への転換を進めており、さらに、新しい地域の特産品となる農作物の試験栽培・流通方法の検討を精力的に行っています。これからの地域創成を考えるうえで、今後注目すべき地域の1つといえます。ここでも、農家の方からこれからの小糸地区の展望や地域の特産品を作り出す手法について様々なアドバイスを頂きました。

 農地でもレクチャーの後は「実学」あるのみです。「水田」と「畑」という2つの異なる農地の土壌データのとり方を学びます。土壌断面を作成し、作土層と耕盤層の違いの観察、さらには、水田と畑の土壌浸入能をシリンダーインテークレートで測定しました。

 最終日となる3回目の演習では、見学した地域の土壌を専用の器具(コアサンプラー)で採取して大学まで持ち帰かえって、精密な実験を行います。今回は、基本的な土壌物理性の指標となる「含水比、土粒子密度、三相分布」を測定しました。実験器具で測定した値のみでは「全てがわからない」のが、土壌物理性の測定の特徴です。

 公式や関数電卓を駆使して、全ての土壌物理性の項目を算出、記録していきます。計算が苦手な学生も教員やグループのメンバーのアドバイスをもらえば、あっという間に計算方法を習得してしまいます。「比や密度」等、イメージしにくい概念も、実際に目の前にサンプルがあれば、不思議とその公式や計算手順も容易に理解できるものなのです。

 最後は班ごとに算出した値をホワイトボードに記載し、「屋上菜園、水田、畑」という3つの異なる農地の土壌物理性を明らかにして、ディスカッションを行います。まだ、1年生ですが、「数値化し、比較(考察)して初めてわかる」という、自然科学系の研究・学問の「基礎」として、とても有益な経験ができました。これから、学生の皆さんがどのような「応用」に挑戦していくのかとても楽しみですね!!

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