海外で生産・販売される自社製品の技術開発と品質管理を担当
栗田 美穂 さん
東京農業大学 生物産業学部 食品科学科(現・食品香粧学科)平成11年3月卒業 / (株)資生堂 グローバルプロフェショナル事業本部 資生堂プロフェショナルブランドユニット 技術開発・管理グループ 勤務
国際市場に向けた世界戦略に対応
多くの企業がグローバル化するいま、資生堂も世界ブランドとして各国市場に進出する戦略をとっています。とくにアジア圏では日本の化粧品に憧れを抱く消費者が多く、当社製品も高い評価を得ています。
私が所属する部門は、美容サロンなどで使われるプロ仕様の化粧品等を日本、中国、タイなどのアジア市場での販売拡大をめざすグループです。私はその中で品質管理などの技術開発をメインに、海外拠点の事務管理のサポートも担当しています。
化粧品は複数の物質をバランスよく配合させた調合製品です。そのため生産時には品質を均一に保つのに高い技術力が欠かせません。海外などの生産工場から送られてきた試作品の成分構成が当社規定に合致しているか、それを検査し修正点があれば直ちに指摘するのが技術開発の仕事です。事務部門では、生産拠点を管理するための国際的な申請業務等をおこなっています。
成分分析にもグローバルな視点を
化粧品の成分検査では、配合された物質の中から目的の特定物質を測定します。混合された複数の物質からターゲットのみを正確に測定することが求められるので、試作品の分析結果に苦労することもありますが、問題に直面したとき、よく思い出すのが学生時代に学んだ分析化学の基礎知識です。基本に立ち返ることで打開策を得たという例も珍しくありません。
私たちは海外で生産する自社製品にも国内生産と同レベルの品質を求めますが、日本と異なる気候や風土によりそれが難しい場合もあります。品質管理の担当者としては、海外工場の状況を視察するなど、現地との連携が重要だと感じています。とくに中国は会社が期待する成長市場です。高校時代に蘇州、大学では北京で留学を経験した私にとって縁の深い中国を足がかりに、今後はより国際的な視野で商品開発に関わっていきたいと思います。
私の学生時代
学生時代は資源利用学(現・食の化学)研究室で北海道産の未利用作物を原料に用いたビールの製造という研究に取り組みました。私は原料にハト麦を選択し、大麦やイモを選んだ他のメンバーと出来栄えを競い合ったものです。1年次に友人と4人でチアリーダー部を創部。活動計画や振り付けの立案など初代ならではの苦労もありましたが、在学中に硬式野球部が全日本大学選手権に出場し東京の神宮球場で学歌や大根踊りを披露できたのは苦労へのご褒美だったかもしれません。
3年次夏には中国農業大学で寮生活を送り農業や食品加工の実習を体験。食品製造に対するその国独自の文化を学びました。いま会社のグローバル戦略を担う部署で仕事を続けられているのも、在学中の異文化体験が生きているからだと思います。