オホーツク水圏環境分野 水圏環境学研究室
環境変化のメカニズムを解明する
オホーツク水圏の環境を物理的・化学的視点から観測してその変化のメカニズムを解明する。このため、船舶や人工衛星などの観測データを用いて、流氷に代表されるオホーツク水圏特有の環境変化をモニタリングする。恵み多き豊穣の海を支えている物質の循環過程を、森林から河川・湖沼を含めて明らかにするとともに、グローバルな視点に立ち、オホーツクの水圏環境が北太平洋全般に及ぼす影響の評価も行う。これらを統合して水圏環境と人間活動の関係について考察していく。
所属教員
学生の主な研究テーマ
・標津沖のクロロフィルaの季節変動
・サロマ湖における化学的酸素要求(COD)の長期変動について
・海色リモートセンシングのための網走地域におけるエアロゾルの季節変動
・オホーツク海沿岸の基礎生産力の季節変化について
・網走に飛来するエアロゾル中の鉄含有量の季節変動
・衛星リモートセンシングを用いたオホーツク海沿岸域のモニタリング
・珪藻類による基礎生産力の測定に関する研究
FREE TALK
卒業研究の感想
宗谷暖流が流入する根室海峡に面する標津町はサケ・マス、ホタテの養殖が重要な産業の一つとなっています。植物プランクトンは海洋の生態系の土台となる重要な役割を果たしており、サケ・マス、ホタテの成長に欠かせない要素ですが、根室海峡は調査データが乏しいのが現状です。そこで、標津沿岸において、植物プランクトンの指標であるクロロフィルaの季節変動を明らかにすることを研究テーマとして一年間調査してきました。
月に一回標津漁協さんの調査船に乗せてもらい、観測点2点で採水しサンプル処理をしました。水温、塩分、栄養塩などの環境条件の測定も同時に行い、プランクトンの成長の要因も探っていきました。その結果、サケを放流して海へ下る春と産卵のために川へ帰ってくる秋に植物プランクトンが増殖していることがわかり、標津沿岸の海洋構造の解明の第一歩となりました。調査データの少ない海域なので、まだまだこれから新しい発見が出てくる可能性が高く今後の研究の展開が楽しみです。また、この研究を通してフォーラムに参加させていただいたり、地元の皆さんと交流できたことはとても良い経験になりました。
(4年 市野亜沙美)
水圏環境学研究室は、基本的には生物をメインとして扱っていないのでアクアバイオ学科の中でも少し変わった研究室かもしれません。現在の研究フィールドはオホーツク海、標津沖、サロマ湖、能取湖、網走湖などです。船に乗っての現地調査、衛星によるリモートセンシング、大気中のエアロゾル(大気浮遊粒子状物質)の調査など、研究内容によって研究方法も様々です。研究室内では先輩はもちろん、先生方もフランクで、普段のまじめな授業からはちょっと想像できないような素顔を見ることができたり!?今年度は学科の完成年度ということもあり、来年度の新3年生も加わって、個性派もいるかなりの大所帯になりました。い、椅子が足りない(笑)
(3年生 T.E)